<只今、全面リニューアル準備中。>
TANKATANK『啖苛嘆狗』<57577あるいは575>
何処にも行けぬ群生の向日葵は 秋雨の為すがままに耐ふ
昨日、国道一九六号線で見た向日葵を想う。
[2020/10/23]
辛抱強いね と云われる哀しさは億万回の流転人生
好き好んで辛抱強く生きている奴はいないと想う。
[2020/10/18]
雲になりたい 秋晴れに見た夢の夢なりと知る颱風襲来
数日前ぼんやり眺めていた秋雲の儚きことよ。
[2020/10/09]
古い575は、こちら
古い57577は、こちら
更新情報・お知らせ
- 2020/09/30
- NEWあだなみ更新しました。
- 2020/09/01
- あだなみ更新しました。
- 2020/07/23
- 1日1冊ブログ移転しました。
- 2020/07/23
- スマホ用にレイアウト調整(悪戦苦闘)中。完成するまで乱れたり閲覧不能になることも。
- 2020/07/10
- 御教歌も、一冊も、あだなみも、同日更新の快挙。やれば出来る?
- 2020/07/05
- また新しい日記(?)「あだなみ」始めました♪
- 2020/06/07
- コロナ禍の便乗自粛をぼちぼち解除しはじめました。♪
- 2020/04/13
- コロナ禍に便乗自粛をしています。
- 2019/12/20
- 「今週の御教歌」ブログ版を始めました♪
- 2019/12/13
- 詩作修行を始めました♪→中断中
http://junyo-b.cocolog-nifty.com/blog/start.html - 2019/12/08
- >日記ブログ、休止しました。その代わり、新たなお遊びを計画中♪
https://tea-time.goat.me - 2019/07/25
- 日記ブログを始めました。
https://tea-time.goat.me - 2019/07/08
- ホーム画像を一枚更新。ドコカノ公園です。
- 2019/05/24
- ホーム画像を一枚更新。新居浜・銅山峰のツガザクラです。
- 2019/05/09
- ブログパーツは再開しました。但し、元々Apple製品Cでは動作しないようでした。(詫)
- 2019/05/08
- ブログパーツは停止中。原因不明ですが調査していません。(詫)
- 2019/04/25
- ニュース時々CM、怒りの更新しました。
- 2019/04/23
- ホーム画面に蝶の舞いをあしらいました。見えない場合はflash playerを有効にしてください。
- 2019/02/21
- ニュース時々CMを更新しました。
- 2019/02/21
- ホーム画面に早くもサクラの花びらをあしらいました。見えない場合はflash playerを有効にしてください。
- 2019/01/05
- ホーム画面にダイヤモンドダストをあしらいました。見えない場合はflash playerを有効にしてください。
- 2019/01/05
- ホーム画像を一枚更新。正月あさの朝倉村です。
- 2018/10/29
- ホーム画面に紅葉をあしらいました。見えない場合はflash playerを有効にしてください。
- 2018/09/14
- ホーム画像を一枚更新。"サンプルを聴く"を押しても無効です。キャプチャー画像ですから。
- 2018/08/09
- ホーム画像を一枚更新。暑中見舞といえばこれでしょ。昭和の人の場合は。「言いたい放題」も更新しました。
- 2018/06/01
- 57577を始めました。たんぽるぽるに感化されて、です。
『たんぽるぽる』はこちら
↓↓
http://junyo.jugem.jp/?day=20180525 - 2018/05/04
- ホーム画像を一枚更新。すてきな人形師さんのウェブサイトを発見しました。 http://www.shinkyo-nakamura.jp/gallery05.html
- 2018/03/02
- ホーム画像を一枚更新。花粉症お見舞い申し上げます。
- 2018/02/09
- まっ赤なウソを紹介しました。
- 2018/02/02
- ほぼ1ヵ月ぶりに575をつぶやきました。
- 2018/01/04
- ホーム画像を一枚更新しました。瀬戸内とびしま海道・大崎下島の一コマ(加工しています)。
- 2017/11/24
- ひさしぶりにニュースを更新あっぷしました。
- 2017/10/04
- 画面全体を金魚が(およぐというより)飛んでいきます。
- 2017/10/04
- 言いたい放題をアップしました。
- 2017/09/22
- ニュースをアップしました。
- 2017/09/12
- ホーム画像を一枚更新しました。月の友?です。
- 2017/09/09
- きょうのらくがき<575>を改題。「ときどきらくがき」に。
- 2017/09/02
- 読書ブログを公開しました。目標1日1冊アップ。デザインは試験中。
- 2017/09/02
- 画面下をトワイライトエクスプレス瑞風が走ります。
- 2017/08/29
- ここんところ不具合つづきのTwitter表示は休止します。新たな構成を企画中。乞うご期待。
- 2017/08/17
- ホーム画像を一枚更新しました。残暑お見舞い申しあげます。
- 2017/08/05
- 今週の一冊を2ヵ月ぶりに更新しました。
- 2017/07/30
- 「言いたい放題」をアップしました。
- 2017/07/29
- ホーム画像を一枚更新しました。暑中お見舞い申し上げます。
- 2017/07/10
- 「言いたい放題」をアップしました。
- 2017/06/13
- 今週の一冊をひさしぶりに更新しました。ホントは先月読んだ一冊だけど。
- 2017/06/02
- ホーム画像を一枚更新しました。6月1日、台湾に現れた不思議な空の写真です。
- 2017/06/02
- 言いたい放題を更新しました。
- 2017/05/09
- 画面下を、自転車に乗ったこどもが駆け抜けます。
- 2017/05/09
- 言いたい放題を更新しました。小鳥がさえずります。
- 2017/04/12
- メンテナンス終了。言いたい放題を更新しました。サクラの花びらが降ります。
- 2017/04/07
- 数日来、身心がメンテナンスを渇望中。
- 2017/03/24
- 「今週の一冊」をあまり更新していないことに今日きづきました。ごめんなさい。(といって放置。)
- 2017/03/13
- ホーム画像を一枚更新しました。加茂川河口の鴨です。
- 2017/02/17
- 「今週の一冊」プログ版をはじめました。
- 2017/02/13
- 初めて575を休みました。そりゃそうだ休みたい日もあるわいな。
- 2017/02/03
- 「言いたい放題」をアップしました。
- 2017/01/28
- twitter表示のプログパーツの不具合を愚痴ったら翌日解消。ぼやいてみるもんです。
- 2017/01/27
- twitter表示のプログパーツが停止してから一向に改善されず、うんざり、がっかり、はてさて、の毎日です。
- 2017/01/06
- ホーム画像を一枚更新しました。石鎚山系の冬です。
- 2017/01/02
- 年始ごあいさつページを加えました。
- 2016/12/16
- GALLERYを46日ぶりに更新しました。(こんなことする暇と元気はあるのです。)
- 2016/10/04
- ホーム画像を一枚更新しました。石鎚山系の秋です。
- 2016/09/26
- 猛暑は終わり、暑中見舞いリンクは終了しました。
- 2016/09/02
- リンクがある箇所を青色にしました。
- 2016/09/01
- 「きょうの575」を改題して「きょうのらくがき<575>」にしました。
- 2016/08/23
- アクセスカウンターは時々正気を取り戻しているようです。
- 2016/08/14
- アクセスカウンターの動作不良。原因不明です。ただの飾りと化しています。
- 2016/08/07
- twitter ツイートをリンク表示しました。
- 2016/08/05
- スマホで閲覧すると顔写真が映らない状況になっていた問題は解決しました。その他にも問題はいろいろ。(大方の原因はレスポンシブ対応の難しさによる。)
- 2016/08/02
- 2年前から発行しているメルマガをベースにWEBSITEを構築することとなりました。ぼちぼち、やってます。
古い57577
「老人」の気高き意味が失われ 辞典に加わる【老害】の項
「老」には本来尊崇の意が籠もり、昔の老僧のなかには若い者もあったが、そんな用例は消えていった。それと相俟って、古い広辞苑には無かった「老害」がいつにまにか採録されている。
[2020/09/30]
短歌詠み俳句捻るも日本語の 砦と知れりかくあらまほし
日本語はそう易々と滅ぶまいと油断しているが古く美しき和語が喪われ、米語由来のカタカナ語がのさばっている。琉球語も滅びつつあるようだ。
[2020/09/01]
字を植える早わざ横目に新聞の 校正をした青春かな
若い頃、毎月新聞印刷所に行って見ていた「植字」作業の風景をふと想い出した。いろんな意味で熱かった時代。
[2020/08/07]
闘いを前戦だけと想うなよ後方にあり後世にあり
見えない処、知らない処でも、多くの人間が命を削っているのが戦争。
新刊本『戦争孤児たちの戦後史』を読みつつ念う。
[2020/07/24]
曼荼羅華(まんだらげ)と讃へられしも何処ぞでは 気違いナスビと貶めらるゝ
曼荼羅華のことはあだなみに概説しておいた。
[2020/07/10]
災害報道 眼を背けてはいけないと念いながらも映像は勘弁
またしても熊本等で豪雨災害。殉難者追善菩提南無妙法蓮華経
[2020/07/05]
雨の降るコロナ禍中の部屋籠もり 読みし冊子の作り手を想う
製造業、運送業、多くの手足に謝す。
[2020/07/03]
本年も鳥無き島の害獣の消ゆるを待ちて梅雨に入り
駆除したいのはやまやま。
[2020/06/10]
日曜の昼というても言わんでも粗変わりなき寺の明日は
1人お参りしていた例外の学生、とその家族は安泰ならん。
[2020/03/01]
寒修行する人影の減りゆくに瞋り歎きも減りにけるかな
よくない傾向である。わが心のありようとして。
[2020/02/07]
大衆は愚鈍なるちう定説に見向きもしません大晦日
人それぞれの越年があって然るべき。
[2019/12/31]
(もう生きていたくないから)
えっ
今まで生きてたちうのかね(笑)
1行目は辻征夫さんの詩のタイトルを借用。ナンピトも命を大切にしてください。
[2019/12/27]
逸脱を狂気というなら狂いましょう野性は理性を超えられる
理性はそんなに優れものではないよね。狭い世界の知だもの。
[2019/12/08]
半分よりちょっとふっくらとした月。丁度いいのでございます。
今日の気分にふさわしい、天の贈り物に見ゆる。
[2019/09/08]
悲しみの時一刻を惜しむなよ干からびたいのか朽ち果てたいのか
悲しみを乗り越えろ、と急ぐのは残酷。今日は京都アニメーション事件犠牲者の尽七日忌。
[2019/09/03]
祈れども祈れども祈れども甲斐を感じられない疲労ならんや
#被災地を想ふ
[2019/08/31]
犠牲者を殉難者と言い換えても罪の重さは変わらぬものを
人が死ぬ。恒に、それは、他人事ではないものよ。
[2019/08/30]
頭の先から爪先まで悪人というのは居ないから厄介なり
人間界はある意味、地獄界より質(たち)の悪い奴がいる。最近、体調悪いのはこのせいか。忍、忍。
[2019/08/02]
怪我させて見舞いの言葉も詫びもなき×××××××罪
ちょっとした怪我をしましたが、それ以上に深い傷も受けました。感情のままに歌にしましたが、あまりに露骨なので伏せ字つきです。拙僧も凡夫。
[2019/07/29]
防空壕を掘る女学生ら前髪を垂らす娘なしスカートの娘なし
松山空襲74年。愛媛新聞に載った昔の写真。
[2019/07/26]
両日のメディア断ちたる脳天に放火惨劇の大見出し
ニュースやメールの洪水を避けてリフレッシュするつもりが。
[2019/07/19]
G20のGは政府かと思いしにgroupだってさグルぷっぷー
痔20なんてことはない。恐らく。
[2019/06/28]
朧月に架かる電線ふとくなれり眼鏡新調しようかね
電線が太くなった? 常識で考えれば気のせいなのだろう。
[2019/06/17]
炎上と聞いて浮かぶは金閣寺はたまた吉原どろろろろ
人間の欲望が引き金になる浮世を描いた秀作も今は昔か。
[2019/06/14]
東京青山なんて行きたいことないと強がってみる田舎オヤジ
スパイラルカフェとやらがあるらしい。
[2019/06/07]
関西に何故徳島が入ってるおまえは四国とちゃうんか
関西の定義にいろいろあるらしいが。
[2019/05/31]
縦書きを偏愛したのに阿久悠の志は遺棄さるウェブサイト
生前は縦書き表示だったらしい。http://www.aqqq.co.jp
[2019/05/30]
栂桜ほん数ミリの紅白を見ゆる脚力あればめでたし
四国では新居浜の銅山峰だけらしい。天然記念物指定。
[2019/05/23]
甘悲しいなんて言葉を創ったのは川端先生ですよね
小説『禽獣』に出てくる。
[2019/05/17]
東京五輪記憶しているそれが何?出場していたわけでもないのに
巷で聞こえてきそうな会話の一コマ。
[2019/05/10]
絶望と声を発している間はネ・・・スクヒヲ待ツテヰル
ということも少なからずあるだろう。
[2019/05/08]
老ドライバーに家族殺されし遺族の声愛媛新聞は黙殺する
池袋暴走車両殺人事件の遺族が必死の思いで会見したことを、老人ドライバーいっぱいの愛媛で報じない理由は何だ。
https://junyo-snow.com/news_20190425.html
[2019/04/25]
万象を涙液越しに見ているのですヒトは生まれながらに
涙が枯れないのは三層構造で油分に覆われているからなのだとか。
[2019/04/23]
たがやしてたたがやしてゐるおきなこしにてをあてゝも独り
たんたんとはたらくたうえまえの光景。
[2019/04/15]
近未来大臣資質測定器でけたら大臣みなAI
笑えない。かなしすぎ。
[2019/04/12]
よなぼこり九州北部に舞い降りぬ損得忖度ソンタキスト
これはザレ歌。品が無いのは題材のせいならん。
[2019/04/05]
春一番ふごふごいいつつ土手行かん花は綻び乙鳥は啼く
乙鳥は、イッチョウともツバクラとも読む。燕。
[2019/03/22]
上弦の月影さやか明日は少し満ちてゆくんだね雲一つなし
3.11の夜。
[2019/03/11]
春雨の径を塞いで迂回路へと駅伝支える中高年
町の駅伝はあまたの協力者のおかげで成り立っている。
[2019/03/10]
閏日のない二月が終わり損した気分得した気分
損得で考えることが既に侘しい。
[2019/03/01]
わたしは僕ではありません私も俺とか儂も嫌いなのです
日本語には一人称として得心のいく表現がないのです。ずっと何十年も。
[2019/02/08]
"G. サンドリ・フィオローニ"で検索 あら情けないふふふのふ
知る人ぞ知る世界的権威らしいのですがねえ。
[2019/02/01]
年末まであと347日ってそんな情報がいりますか
正しい情報って何でしょうねえ。
[2019/01/18]
新元号エイプリルフールに発表って期待しちゃいますハプニング
よりによって、そんな日に発表するのか。
[2019/01/05]
うべなうorうけがう。はてさてどう読むどうでもいいんじゃない
「肯う」の訓読について悩む日だった。古語は外国語学習よりむつかしいよね。
[2018/11/13]
なないろ足りない虹。見たけりゃいつでも見える信じていれば
ひといろ足りない虹に、新川和江さんの詩で出遭った記念に。
[2018/11/11]
せんじょうのゆき晩生に咲く戦場にあらずゆるし色かな
"仙丈の雪"はトルコギキョウの一種。冬の仙丈岳をイメージしたのであろう。淡いピンクは和名のゆるし色に近い。
[2018/10/29]
貯蓄の日ほんとは使わせたいんでしょ金融広報中央委員会の人
金融広報中央委員会 @shiruporuto の実権は誰が担ってるのかな。
[2018/10/17]
虹の端が雲間に吸い込まれていく想い出の中の女は黙っている
女とある箇所は演歌みたいに"ひと"と読んで欲しい気分。ついでにいうと端は"は"と読みたい。
[2018/10/06]
秋といえば秋バテ以外何もないわたしは芥川を読む
芥川龍之介の『秋』がわるくはない。関係ないが、朗読サンプルで見つけたのは秋茜さん朗読の『蜜柑』http://ur0.biz/LZar(amazon)
[2018/09/14]
唐突に夏終わるらしブログにはキャンディーズがそのままなんだけど
暑中見舞いバージョンを終わらねば。
[2018/09/11]
電線に雀が三羽寄って来て停まれ停まれの念力楽しや
わたしの念力は大したものだった。エッヘン(笑)
[2018/08/22]
鮮烈に伸びゆく虹の端を捜し など涙目に夏の終わり
今夕、哀しいくらい美しい虹を見た。
[2018/08/21]
小銭入れを何日も捜しているわたし買い換えた途端に見つかる気がして
高価な品でもないし、愛着もないんだけれど。
[2018/08/20]
盆すぎたら草臥れた花ばかり並んでる朝市のレジでは世間話
お盆の始まりには開店早々長蛇の列で、早くしないと良い花は無くなってしまっていたのだが。
[2018/08/17]
ドミナンス何なんすゴミなんですか明日は収集おやすみです
仮想通貨の話題にでてくる語。関知しない者にはゴミ同然。
[2018/08/15]
艮(うしとら)の方だけ雲が切れている 純白入道殿お手柔らかに
ゲリラ豪雨の予兆とまではいかないが。一寸先は闇。
[2018/08/13]
長崎の被爆の御霊にごめんなさい 今年も広島を先に想いました
戦後はまだまだおわらない。終わらせてはいけない。
[2018/08/09]
炎天の田圃にぬっと頸一本 白妙の鷺失恋でしょうか
朝見たときは番いで動き回っていたのに。
[2018/07/15]
寝食を忘れて本に埋もれていた。迷った末に図書館に行く
被災地のことも忘れていた自分に気付いた。南無。
[2018/07/11]
おちつきのない紋白蝶百羽 日曜日だぜ丹原町
周越街道を走っていたら、いたるところでモンシロチョウに遭遇。
[2018/07/01]
雨上がりかと思えば石鎚の峰に寝そべってるじゃんグレードラゴン
グレード・ラゴンではありません。灰龍。
[2018/06/29]
警告看板を見るたびツッコミたくなる 言語感覚崩壊中
路上看板「子供と高齢者の交通事故防止」。中年の事故は防がなくていいのか、なんてね。
[2018/06/27]
真夏美をさがしに出たら俄雨 びしょびしょびとに出逢いました
服の内は汗、おもては雨。
[2018/06/26]
もふもふ ガラケー 広辞苑に載るまで生きているやらん
ケータイは携帯の語釈のなかに載ってた。
[2018/06/25]
月花もなくて呑むノンアルコール かなしいのやら嬉しいのやら
最近のこと。アルコールテイスト飲料ってのを時々呑んでいる自分がいるなんて、ちょいと前なら信じられなかったろう。#芭蕉の句やら苦やら参照
[2018/06/24]
初めての体験 首絞められ怒号三秒覚醒せり
山尾悠子さんの『夢の遠近法』を読んだせいなのか。嫌な夢。
[2018/06/15]
センプーキアラフォーには見えません 動く時はよいしょって感じだけど
昭和の機器はガンジョーだね。
[2018/06/13]
田植え済んで無人の景色に還りけり 淋しくなったのね旅鴉
のどかな風景とよろこんでいいのかしらん。
[2018/06/12]
#アンテナに鴉が三羽停まっている 仲が良いとは限らないだろ
アンテナをシェアする鴉三羽 鳴きはしない帰る山がなくても
トイレの窓から見えた風景。#印は初作。
[2018/06/11]
霧になりたい 山を隠し島を隠し水平線も 見えないだけ
濃霧のしまなみ海道をひた走りました。車で。
[2018/06/07]
夜が明ける前の背徳 病名は好きにつけてくれたらいい
東の空に太陽が昇り始めるのを正面から見ていると、生きてるなあと感じるのです。今日は、がんばろ。
[2018/06/01]
古い575
終戦記念日いまだ戦後は終わっていない
終わらせなくちゃとも思うし、終わらせてはいけないとも思う。
[2020/08/15]
夏案山子 爺のお下がり着て黙す
梅雨晴れ間の青田に整列している案山子の兄弟たちがあった。老人男性のシャツを着ていた。(喪中かもしれない。)
[2020/07/17]
転がる石ひとえに斜面のあればこそ
法華経的にいうなら依正不二。人はみな環境のお陰を蒙っている。
「転がる石」のことはあだなみも参照。
[2020/07/14]
一月が巡り来て十七日が来る
もう四半世紀、まだ四半世紀。
[2020/01/06]
辛抱してればきっと、秋来るよね
永遠に続く苦労はない。人間界に生まれ、誇り高き仏法に出会ったんだから。
[2019/08/02]
小説をノベルと言い換え点灯す
訳語として、つまらん読み物に聞こえると怠惰感が増す。読後に、文学は人生の肥やし、と言い切れた時は幸い。
[2019/08/20]
盆あけの雨バイクより俳句の日
8・19。今日は俳句の日だろうなと思ってググッてみたら、まず出たのはバイクの日のほうだった。
[2019/08/19]
年甲斐のあると思えばあるのだよ
自分の年齢を意識しちゃう時、できれば肯定したい。
[2019/07/11]
狂い篦を納めて死なん天の星
金時鐘さんの生きざまに思う。篦(の)。
[2019/07/07]
いざ鎌倉重箱の隅ほじくらず
鎌倉時代には重箱は誕生していなかった。ゆえに宗祖日蓮聖人も重箱の隅をつついたりされなんだ。
[2019/07/05]
ガクモンのガのへなちょろけ苦悶の夏
学びは我にあり、かもしれません。
[2019/06/21]
山法師遠目にみるのみくいはせず
実を食することが出来るというけれど。
[2019/06/12]
無邪気でも逃げる準備よ雀蜂
春の蜂はまだ大人しい、といわれても。
[2019/05/23]
大山蓮華大輪恥じてうつむけり
下向きに咲くところがいじらしい。今朝の愛媛新聞「季のうた」に寄せて。
[2019/05/10]
在職中酒絶つ校長ありと聞けり
今日の愛媛新聞コラムに載っていた。敬礼。
[2019/05/09]
おしん見んと急ぎし吾師の年忌かな
その昔、朝ドラのおしんに自身のブーゲンビル戦線や戦後日本を重ね見ておられた師であった。
[2019/05/04]
想定問答どうでもいいや朧月
月夜にはただ大人しく月を眺めていましょう。暫しでも。
[2019/04/19]
春風や闘志はなちて丘に寝よう
このほうが春らしくない? #虚子忌 元句は「春風や闘志いだきて丘に立つ」。
[2019/04/08]
ゆく舟へかひなき手をあぐ失心者
赤黄男の句を捩りました。[ゆく船へ蟹はかひなき手をあぐる]
そんなことばかりしていては上達せぬのに。
[2019/03/14]
爽然と昼寝から覚め鼻呼吸
河東碧梧桐の「愕然として昼寝覚めたる一人かな」を捩ってみた。
[2019/03/06]
春一番からだとこころのむずむずし
体感的には厭な季節であるが、別れと出会いの旅立ちの季節でもあるなあ。
[2019/02/21]
愛の人犀星を読む 気恥ずかし
室生犀星の詩は愛の賛美に溢れている。青年期には青年の、老年期には老練の、それを読んでいるうちにこちらが小恥ずかしい気分に。
[2018/05/04]
脆弱なネコはびこらすヒト社会
アビゲイル・タッカー著『猫はこうして地球を征服した』を読んで一句。 人食いライオンに代表されるようにネコ科動物は人間社会の拡張とともに減少し続けてきたのに、イエネコはヒト社会に食い込んでぬくぬくとし、他のほ乳類を脅かす側にいる。
[2018/02/02]
目出度さは生かされているそれだけよ
ただ生きている。その価値をしみじみ思う正月である。
[2018/01/04]
デフォルトのAKBにも無頓着
リンク先のブックレビユーブログにいつも表示されていたAKBのCDジャケットをようやく差し替えた。そのうちに自動更新されるCMだと思っていたが、自分で削除しない限り変わらないのだった。ページ閲覧者の中には、わたしの嗜好と勘違いした人もあったろうなあ。
[2017/11/06]
事故渋滞 本一冊が読めました
1時間くらい、ほとんど停車状態だった(時折、数メ-トル進むだけ)ので、車内にお手軽本があって良かった。めでたし、めでたし。
[2017/10/25]
本好きなら一度は行きたいアルゼンチン?
今朝のラジオで耳にした話。アルゼンチンの本屋は店舗毎に、置いている本が全然違うから書店廻りが楽しいんだとか。おお行ってみたい、と思ったものの、スペイン語の勉強してからでないと。
[2017/10/22]
選挙場出口調査を初体験
衆院選の期日前投票に市役所へ行った。帰ろうとした時、声を掛けてきたのはNHK の出口調査アンケートの担当者だった。この手の体験はお初だったので、よろこんでアンケート用紙を受け取り回答記入。あとからふと思ったのは、たいていの人は正直に選挙行動について書くのかなあ?
[2017/10/19]
秋の夜の酒はしづかに飲むべえかな
若山牧水の歌「白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり」のもじり、かな。おそ松くん。
[2017/10/13]
時々のつもりが稀になりにけり
このコーナーは時々でいいや、と思った途端に、気が付けば2週間経ってるよ。人間てやつは、怠けることに慣れるのはアッという間なのだ。
[2017/10/04]
泣くに泣けぬ運転中のこむら返り
そもそも車に乗る時に少し違和感があった。右足だよ。松山で、だよ。しばし停車して休み、あとは左足でペダル操作しながら帰った。
[2017/09/21]
台風が遅れた分だけ無事奉修
岡山から御導師はじめ20名の団体参詣をお迎えしての巡教がどうにかこうにか無事終わった。ご一行は雨が激しくなる前に瀬戸内海を渡り終えてご帰山ご帰宅になった。(まあ、そのあと境内でちょっとした事件発生があったが伏せておこう。)
[2017/09/17]
ライトノベル異界霹靂瓶の中
若い作家・乙野四方字の『正解するマド』を読んでの感想。それなりに面白いが、何のにおいも存在しない世界を見た感じ。※明日にでも、読書ブログにアップする予定。
[2017/09/11]
くたびれ足袋捨つるか否か秋の風
人は毎日いろんな選択や決断をつみかさねることで生きている。ん~、も少し履こう。
[2017/09/09]
取り立てていふことは無し雨あがる
言うことがないってのは、いいことかもしれない。(単なる連想つながりで一言。映画「雨あがる」の主演寺尾聰もいいが、妻役の宮崎美子もよかった。終盤の台詞が解説ぽいのはご愛嬌。)
[2017/09/05]
ドタキャンでおかげで高知で本読んで
朝から高知のお寺へ講師として出掛けたが、高速道路の高知道を走行中に「延期して」と電話があった。怒っても仕方ないので、そのまま高知市内まで走り、古本屋で予定時間を楽しんだ。めでたしめでたし。
[2017/09/03]
狼の遠吠え聞きたい時もある
藤沢周平さんは若くして妻と死別した後、遺児とよく動物園へ出掛けては、狼の檻の前に立ち尽くしていたという。後年、彼は「パンダを見てもしようがない」と述懐している。
ジャズマンの音に酔いたい夜もある
今夜はNHKのFMで東京ジャズフェスティバルの生放送。天才パット・マルティーノ(73)の神業に聞き惚れた。
http://www.tokyo-jazz.com/jp/artists/ 一度でいいから生で聴きたい。
[2017/09/02]
老若を問題にするそれが問題
老年のなかの若さを評価することは良い面もあるが、それは老いた面をマイナス評価する裏返しでもある。万人、若い時もあれば老化もする。自己の中の、老若さまざまな面をすなおに受け入れ、なおかつ老若を超克した自分になりたい。(なんてことを考えるのが老化の一歩なんだろうなあ。)
[2017/08/30]
半月が一番寂しおでん食う
半月の中途半端さがにがてなんだ。わたしは。
[2017/08/29]
朝焼けに妖しさを付す山神なり
闇黒の山々の向こうで、東の空が薄紫に染まっていく刻々の妖艶さよ。
[2017/08/25]
景物を見ているふりの哲学詩
現代詩とやら(の多く)が嫌いではないが理解できない。感じるものであることはわかるものの、心底において言葉を弄んでいる気がしてならないのだ。素人にわかる現代詩は存在し得るのか。
[2017/08/24]
萱草(わすれぐさ)数珠に付けてもよいかしら
萱草は万葉集などに歌われた、貧しい草。中国からの伝によって、憂さを忘れるために、着物の紐に結わえたらしい。※わたしの本心ではありません。(邪心?)
[2017/08/23]
めがね屋も店たたむ秋とんぼ飛ぶ
個人商店がまた一舗廃業。店のシャッターの前をとんぼが通り過ぎていった。
[2017/08/22]
弟子プリン[discipline] プロそれぞれに味極む
disciplineは弟子(disciple)を原義とする英語で専門分野の意。ことばあそびの句。
[2017/08/21]
左団扇の自転車男子涼しいかい
いかにも暑い顔をしてのろのろペダルを漕ぐ男子中学生を見た。みんながみんな燃える高校球児じゃないのです。
[2017/08/20]
Love Is A Rose それは血の色なんだろか
往年の楽曲タイトル。わたしが好きなのは Linda Ronstadt バージョン。
[2017/08/19]
三年後 刮目せよと言えますか
三国志に出てくる台詞「男子三日会わざれば刮目して見よ」とは、勉励努力する者は三日もすれば見違えるものであると自負するを言う。われら凡人とても、せめて三年経ったら成長していなければ畜類に同じ。
[2017/08/17]
盆明けや賑わうコインランドリー
盆明けというより夏休み明け。
[2017/08/16]
亡き魂のはじめての盆閑かなり
初盆あるいは新盆などという。日本の原風景の匂いがする。
盆の雨に打たれし向日葵うな垂れる
ひまわりの花が、向かうべき目当てを見失ったかのようだ。
[2017/08/15]
ユニークな供物献じし意を想ふ
お供えもののお下がりを頂いた。品物を見て最初おどろき、次に、もしも私以外の人が受け取ったらどう反応するだろうかと考え、最後に施主の真意を確認してみたいと思った。供のルーツは尊敬(そんぎょう)にあり。
[2017/08/12]
ご苦労様 声かけて知る案山子かな
炎天下で農作業している二人。あっ、かかしだった。カラスも欺されるんだろうか。
[2017/08/11]
颱風より迷走怖ろし人間とは
颱風5号の迷走ぶりは予測不能の怖ろしさを通過後にも残したが。
[2017/08/10]
観光に来て台風しらぬは誰が悪い
台風五号のニュースは日本中を駆け回った。なのに、滞在中の外国人でなにもしらない人がたくさんある現実に愕然とした。
[2017/08/07]
愛別離苦 古今東西 怨憎会苦
真実は普遍なり。
[2017/08/04]
領袖が政治用語に墜ちにけり
内閣改造人事の発表、報道があった。こういう時だけ領袖の語が使われる、そんな時代に吾等は生きている。
[2017/08/03]
米喰うて命縮めるボボリンク
ボボリンクは米食鳥ともよばれる、アメリカ大陸の渡り鳥。かわいい名前とは裏腹に精悍な実物を見てみたいが、生態数は減っている。環境変化で米を食うようになってから農薬被害で健康や渡りに支障がでているとか。
[2017/08/02]
入道もいろいろ在りけり夏の雲
入道雲を知ってはいても、入道の何たるかを知る人は少ないかも。
[2017/08/01]
暑気あたり逃れんがため朝参り
不要不急の外出を控えることと、寺への日参は次元がちがう。わかる人には分かる話。
[2017/07/31]
夏草や邪魔者扱い女装罪
除草剤が漢字変換で女装罪に。女装する人を蔑視する意図はありません。ただ、そんな見方をする人間があるは事実。
[2017/07/30]
ICBMの飛び来る夏の闇
おそろしや北朝鮮。寝苦しい夏。一層と人を不安にさせる。
[2017/07/29]
五歳児に励まされたり夏の朝
昨朝のラジオ番組『夏休み子ども科学電話相談』を聴いて作句。くわしくは本日発行のわたしのメルマガに掲載。
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http://junyo-snow.com/touroku.html
[2017/07/28]
夏休みすいてて淋しい古図書館
子供等で混雑してるかも、と思いつつ立ち寄った町外れの図書館。あまりのがらがらに何だか・・・。
[2017/07/27]
蟻地獄見ずに光陰すごしけり
茅舎の句をもじっただけ。原句は、"蟻地獄見て光陰をすごしけり"。彼は蟻を一匹一匹識別できる程に観察しつづけたことがあるという。
[2017/07/25]
昨夏まで出来ていたこと一つ減り
老いをしみじみ感じる瞬間。
[2017/07/24]
ほうくるも懸命もあり四十九日
人が亡くなり、尽七日忌までの毎日を遺族や縁故者がどう過ごすかさまざま。形も心も。
[2017/07/23]
息災でありゃこそ熱い名古屋場所
大相撲がそこそこ面白いのは熱い力士がいるおかげ。怪我をしない、怪我に強い、怪我をいいわけにしない、そんな男達に喝采を。
[2017/07/19]
朝焼けや喜怒哀楽の表情筋
朝焼けは眺めていて飽きないものだ。時々刻々とかわる。日毎にも表情をかえる。
[2017/07/17]
Juncus effusus L. var. decipens Buchen いい香り
"Juncus effusus L. var. decipens Buchen"は、い草。松山のお寺の開導会にご参詣させていただいたら、冷房の効きはいまいちだったが、あたらしい畳のかおりにホッ。
[2017/07/16]
ウキウキきうきう憂き世だね
暑い。。。。
[2017/07/15]
真夏日の鎹思案煩悩菩提
ならんだ字面だけで暑苦しい。鎹(かすがい)は国字。
[2017/07/13]
東雲を燃やせし陽さえ梅雨に負け
夜明けには真っ赤な太陽が顔を覗かせていたが。明るい日はいつ来るのか、此処も彼処も。
[2017/07/12]
先生(せんしょう)の記憶で動く不思議あり
ここにいう先生は前世の意。世の中に不思議なことは溢れている。
[2017/07/11]
彼の空へヘリ三機行く合掌す
おそらく九州北部の豪雨被災地へ行ったのではないだろうか。
[2017/07/10]
脳天を掻きまぜるほど髪洗う
車を走らせながらラジオを聴いていると、「髪洗う」を題材にした俳句投稿が実におもしろかった。日本人の多くはさまざまな思いを日々割り切りながら、刹那を生きている。
[2017/07/08]
箪笥運ぶ汗の分だけ酒うまし
実家の和ダンスを妹と二人で階下におろした。途中で圧死しそうになりながら。
[2017/07/06]
エアコンの唸りに混じる軽雷音
エアコンがうるさいなあと思ったら、遠くで雷がなっていた。※雷音はライオン(獅子)と同音だった。
[2017/07/05]
颱風が秋の季語とは懐かしき
台風3号が四国を横断していった。秋はまだまだ先。
[2017/07/04]
思い出したアイスキャンディ無惨なり
買って来て忘れていた。もはやアイスではないキャンディを喰う。
[2017/07/03]
髪洗う指逞しき床屋の娘
久しぶりに床屋へ。頭髪を洗ってもらう時、指の圧力が強い人だと得した気分になる。
[2017/07/02]
ちらちらちらあちらこちらもんしろちょう
畑の一角が白っぽくちらちらしていた。カラスよけのような何かが光に反射しているのかと思ったが、よく見るとモンシロチョウの群れ。
[2017/07/01]
雨轟き涌き出でたるや虚空会なり
朝からの断続的に激しい雨で、山々の裾野から霞が立ち上っていった。雨上がりには神秘的な会座のできあがり。
[2017/06/30]
低く飛ぶ子鴉二羽あり雨上がり
燕の場合は雨天になるというが、カラスは関係ないか。
[2017/06/29]
さくらんぼ軸の青さの初々し
今が旬のさくらんぼ。
[2017/06/28]
人間も黴もいろいろ味がある
食べられるカビもあれば、有害なカビもある。喰えない人間はどうしたって誰にも喰えない。努力の問題では無いとおもう。
[2017/06/27]
延命をせぬと決めたり虎が雨
先週末、老いた親が危篤寸前迄至っていたので、らくがきは休んだ。昨日は危機を脱して一般病棟へ。わたしも安堵したので終日予定通りの行動。今日からはまた緊張感を持って暮らそう。
[2017/06/26]
老年の不自由自慢や喜雨の音
梅雨に入ってようやくそれらしい雨が降った。室内ではお年寄りたちの談笑。
(※季語の使い方が違うかも知れないけどまあいい。)
[2017/06/22]
芋蔓が売れ残りおり梅雨の夕
夕方、農協の市場に立ち寄ったら芋は完売だが芋のツルだけがあった。
[2017/06/21]
白磁っぽい陶うそっぽい蛇苺
見た目美しい陶製品に顔をぶつけて痛い目に遭った。柔らかいはずはないが、想像以上に堅かった。
[2017/06/20]
馬鹿笑いつつぬけまぬけ蚊の唸り
酔っ払いの寄り合いでよくある光景。他山の石。
[2017/06/17]
空梅雨や車憂ル農道あり
「車憂ル」・・・錆び果てた道路標識の文字がほとんど読めなくなった結果、こうなっていた。元は、農耕車優先。ほんとの話。
[2017/06/15]
コクリコはワン切り電話で台無しよ
コクリコクリしている時にワン切り着信。もぅ。コクリコはヒナゲシの異名。
[2017/06/14]
釣り人のまなざし過去へ小糠雨
昨日の575を修正して再掲。昨日掲載分を直に変更してもよかったが、過去そのものを変えることなんて出来ないんだから、昨日の感覚はそのまま保存しておこう。へんちくりんだとしても。
[2017/06/13]
釣り人のまなざし過去の小糠雨
偶然見かけた、橋の上の釣り人がどこを見ているのか分からず、不思議な気がした。
[2017/06/12]
味噌忘る汁を一口 梅雨曇
今日は大掃除があるので朝からばたばた。どうか一日無事に終わりますように。
[2017/06/11]
一面の額咲き紫似合う邸
通りすがりに思わず見入る植え込みがある邸宅。手入れをしている人の心映えがしのばれる。
[2017/06/10]
ガラス器を割って片付け梅雨の入り
近頃、たてつづけにガラスの器を落として掃除に手こずっている。忙しいと斯くなるという見本のような日々。
[2017/06/07]
心太 黒蜜かけ過ぎダイエット?
わたしのことではない。心太(ところてん)ダイエットなんてのがあるらしい。因みに心太は夏の季語。
[2017/06/06]
夏用の燕尾がほしい寺外葬
燕尾とは僧服の一つで頭にかぶるもの。四季兼用。寺内での法要の際は、式中ははずすのが作法であるが、寺外ではかぶったままにする習わし。夏はつらいのよ。(坊主あるあるの世界。)
[2017/06/05]
マイカーの渋滞横目に田植えかな
この時期の晴天の日曜日は田植え日和。がんばってね。
跳ねる雲戯れる雲 田植え時
いい天気なんだ、実にさわやかな。
[2017/06/04]
陀羅尼をば今カラオケという学者
陀羅尼(だらに)とは一般に呪文のように唱える経文を指すのだが、ある学者は、現代風にいえばカラオケで歌うのと同類だと。おお極めて主観的な解説なり。
[2017/06/03]
火打ち石転げて追いし梅雨の入り
早朝から、ていうか早朝だから寝起き状態でやや動作が緩慢なのだろう。手が滑って火打ち石を落とした、それだけの話だが、石ころが元気よくすっころがっていった時、追いかけながら突然の雨音に気づいた。
※おっと、梅雨入り宣言はまだのようだ。
[2017/06/02]
泥に蓮 希望かすれし古看板
年代物の案内表示看板に「希望」の文字があった。かすれているけど。
[2017/06/01]
勤行を終えた バテた 夏の朝
朝参詣の始まる時点で内陣温度は25℃を超えていた。
[2017/05/31]
午睡からめざめて電話の鳴る至福
午睡は夏の季語。そんな季節なんだと実感。
[2017/05/30]
清純なカシワアジサイ燻んだ葉
今朝、産直市場で買ってきて仏花に入れた。柏紫陽花の花言葉のひとつに、汚れなき心とある。和名は日本的だがアメリカ原産。
[2017/05/29]
獲物運ぶ蟻に見入るや離島かな
蟻の動きを一所懸命みつめるなんてのは子供の時以来か。きょうは、こども会と一緒に新居浜市大島に渡った。
[2017/05/28]
献体の遺骨もどらで夏が来ぬ
2年前に献体された方のご遺骨がいまだ家族のもとに帰ってこない。献体が増えているという。合掌
[2017/05/27]
顕示欲あらそえぬ也姉弟
血は争えぬとは、よく言ったものだ。恐ろし、恐ろし。他山の石にしたい。
[2017/05/25]
春の鷽 聞くこと難し哀しさよ
鷽は、鳥類のウソ。その鳴き声が難聴のわたしにはもはや聞こえない。あああ。
[2017/05/24]
何も知らじそれが誠の白地の美
信心の純真無垢な様子を白地(しらぢ)という。理屈を超絶したところに本当の理智が宿る。
[2017/05/23]
飄画伯 郵便局の壁飾る
わが寺所属のH画伯は近所の郵便局に油彩画を提供されていた。職員に聞いたところによると、時折、絵の入れ替えをされている模様。地元に生き、地元に愛される自然人らしいエピソード。
[2017/05/22]
共食いをしてもいいかと鴨が訊く
夢のなかの話。ひとりの鴨がわたしに訊いてきました。日本語でした。疲れてるのか? どこか異常なのか?
[2017/05/19]
甥子らがどんどん遠く巣立ちゆく
甥子の一人が海外赴任に。今年になって親族若者のいろんな異動を聞く。いつまでも昔の感覚が抜けないのは中高年ばかりなり。
[2017/05/18]
自治会の会費徴収四苦八苦
4月から1年間、自治会の役員当番で特に今は忙しさ急増。ふぅ~。
[2017/05/17]
若返り?筋肉痛が翌日に
最近、たまに重労働すると二日後にどっと疲れの出ることが増えてきたのだが、今回は早かった。喜んでいいのかどうか。
[2017/05/16]
鳥が鳴く鶏でなくとも朝を告ぐ
未明に鳥の声で目覚めた。アラーム音でないだけで、少し幸せな心地。
[2017/05/15]
穀象虫 虚空像とは似て非なる
ああ嫌な季節。語呂遊びしてる場合じゃない。駆除駆除駆除。
[2017/05/14]
『醒睡笑』難解すぎて笑えない
1628年成立の笑話集。ちんぷんかんぷんだ。解説を読んでようやく意味がわかる程度で、笑いに達するところまでいかない。戦国時代に文章をものした人々の教養レベルの高さよ。
[2017/05/13]
東向き行けども行けど雲は遠し
未明の紫雲がうろこ状に拡がっていた。近づけそうで近づけない。朝は始まったばかり。
[2017/05/12]
早寝してその分余計な夢を見た
昨夜は早早に寝床に就いたので寝不足解消かと思ったら、未明から不快な夢を延々と見て、朝から気分悪~。
[2017/05/11]
孝行の孫の話は笑顔なり
連休中の話題。老夫婦のお宅に遠方から孫たちだけが帰省してきたらしい。語る表情はゆたかであった。
[2017/05/10]
扇風機出してようやく冬仕舞
寺でつかう季節毎の冷暖房機器の入れ替えは、時間と元気がないとなかなかやる気にならないものだ。人手があれば別だろうが。
[2017/05/09]
生き地獄綴るを読みて拳握る
ホロコースト生存者の文章を読んだ。この手の本は無論初めてではないし、既知の部分も無いではないが、それでも強く胸に突き刺さるものがある。わが苦のいまだ小なるを思う。(我が身のなぐさめにしてなるものか。)
[2017/05/08]
若年の往時に還らす訪問者
今治のお寺の法要(門祖会)に、わが古巣の大阪のご信者方24名が参詣。その昔ともに過ごした方が幾人もあった。30年前の人、40年前の人、互いに記憶が蘇る。
[2017/05/07]
連休は黄金の寺に行ったり来たり
今治の寺は黄金町にある。それをもじっただけ。駄句。
[2017/05/06]
朝焼けのもの悲しきはわが所為か
なんだかなあ。美しいことは美しいのだが。
[2017/05/05]
講演を終へた途端にこゑ枯れむ
病み上がりながら、松山のお寺での講演2時間を無事完了して一目散に帰山。つかれました。
[2017/05/03]
御見舞の清酒二合で快復か
病気見舞に清酒とはいかがなものかと思うが、喜んで、それもいきなり二合飲み干すとは。甘露甘露か。
[2017/05/02]
體調で薄毛になれりとプロの言い
近頃わたしの前髪が薄くなってきたと、美容師親子が言ってくれている。體調の心配以上にそっちが気になるとは、さすが。
[2017/05/01]
「念のため」がまさかまさかのインフル陽
いつまでも微熱が続くので、検診してもらった。月初めからずっとインフルエンザだったとは考えられないが、どの時点から発症かは判然としない。下熱して数日までは休務・休養するしかない。明日からの講席などにおわびと延期の電話をかけました。(御免なさい)
[2017/04/25]
新緑の季節に二度も寝込むとは
今年の冬はたいして風邪も引かずにまずまず元気に過ごしたのに。油断大敵。
帰りみれば藤さきほこり吾たふる
(22日の事を詠む。)3日ぶりに帰山すると藤棚のフジが一気に咲いていてその勢いにおどろいた。かたや私自身は疲れ果てており寝込んでしまった。
[2017/04/24]
先輩に先生といわれ愛想笑い
教務(僧侶)の勉強会での一コマ。ずっと高位の先輩が、わたしの授業中に横を通りかかって挨拶してこられた。ああ不快。
[2017/04/20]
警告だらけ子の影もなき公園かな
「不審者に注意」「ごみをすてるな」。看板だけが虚しく目に入る。春うららかな日中に、美しいだけの無人公園。
[2017/04/19]
人があれば右も左もたすくとは
漢字の右・左どちらも人偏(イ)をつけると、「たすく」と訓む。漢字は奥が深いねぇ。
[2017/04/17]
朝暖房 昼冷房の小世界
こんな世界がすべてではないと、自分に言い聞かせてみる。
[2017/04/14]
こだわりのフォントに生ずる雅致やある
先師の著作集を拝していて、所々いささか普通でない活字體に目が行く。それが厭みないところは先師のお徳ならん。
[2017/04/13]
ひやひやです新小一の帰る路
せまい道を運転中に、小学一年の子らが集団下校しているところに遭遇。たのしそうだけどねえ。
[2017/04/12]
堤あおい帰寂の報に狼狽す
前夜に、何年かぶりにお店を訪ねて、無理しないように言って別れた矢先の訃報。合掌あるのみ。
[2017/04/03]
いちゃもんてなんやねんそれぽけもんか
ぽけもんの技にあるそうな。
[2017/04/02]
心疲れ眠れぬ時は唱題なり
肉体はそうでもないのに疲労の色濃い時は、本堂でしばし、ひとりで唱題させていただくと実に心身が軽くなる。
[2017/03/30]
ツカレタワイつかれてないのにツカレテそろ
「そろ」は候の短縮。ふぅ疲れた。憑かれてないです。
[2017/03/29]
一人ひとり生きざまあれば死に様も
合掌。
[2017/03/28]
容赦なし雪崩は常に本番のみ
春山登山の講習訓練中に雪崩が発生して大惨事。高校生ら殉難者の霊位に哀悼の唱題を捧ぐ。
[2017/03/27]
耐震の形跡見えて納得す/耐震の形跡見えずもやもやす
耐震工事をした、と聞いても工事後ではなかなかピンとこない。わずかでも形跡があれば、ふむふむ、となるのが凡情。
[2017/03/26]
春場所や手負い横綱意地みせる
春場所13日目に初黒星を喫し、肩を激しく痛めた稀勢の里は14日目の出場を表明。黙って見守る。
[2017/03/25]
置いてきぼりそれも案外よい果報
時勢の潮流に乗り遅れるのは、悪いことばかりじゃない、きっと。
[2017/03/24]
ネット断ち刻がゆっくり流れおり
3日間出張などで出掛けていた。珍しくPCを持たずに、本だけ提げて。たまにはいいもんだ。
[2017/03/23]
揚(あげ)雲雀(ひばり) 降(さげ)雲雀とて大悲説き
日扇聖人の御教歌を讃題に法を説いた。大空にあがると見えしくもすゞめおのが寝る野にかへるこゑする
[2017/03/20]
疲れたわいトドメは人の愚痴話
不意にふりかかった寺務の手伝い。多少時間がかかろうと、それだけなら良かったのだが。
[2017/03/19]
手作りのチョコを貰いし春の宵
高校生の女の子から、遅めのバレンタインチョコを貰った。
[2017/03/18]
風ぬくし道は譲れる数秒で
歩行者に道をゆずるのは習慣にすればどうってことはない。多くの車よ、そんなに急いでどこへ行く。
[2017/03/17]
卒業の子を思ひ出す春愁ひ
今日は市内の中学の卒業式。
[2017/03/16]
春時雨 店主煙草を軒下で
古本屋に顔を出したら主は店内で昼食中。いい匂いを振りまく。次に気付いたら店主のおやじさんは店の外で一服中。
[2017/03/15]
春遠し骨が折れても頑固爺
父親が転倒して負傷。それでも、子の言うことはなかなか聞かないんだなあ。
[2017/03/14]
長閑なる加茂の河口に鴨うかぶ
河口付近に灰色とも濃茶とも見えるおびただしい物体が浮かんでいた。なんじゃらほいと思ったら。
[2017/03/13]
眼がかゆい春の訪れ?ドライアイ?
原因は花粉症のようなアレルギー性のものか、ドライアイか、はたまた両方かも。鬱鬱。
[2017/03/12]
鬼嫁はフィクションじゃない春塵苦
「3.11」にとっぷり思いを馳せたいと思ったが、慌ただしい一日だった。外は早春の大風が吹き荒れていて、嬉しくない。そんな日に伝え聞かされた鬼嫁の話。こころは沈むばかり。
[2017/03/11]
花粉症心の奥まで洗いたい
春の風邪みたいなのは花粉症とおぼしき感じがする。
[2017/03/10]
感謝の日惨苦の日とも読めるなり
3月9日。語呂合わせ大好き日本では感謝の日らしい。
[2017/03/09]
寒のもどり見舞の言葉見つからず
聞くもつらい手術を受けた人の家族にかけることばがなかった。出来ることといえば、手術中の無事終了と術後の心身安定を祈ることだけ。
[2017/03/08]
少年の踏花同惜 おっさんも
「踏花同惜」は白居易の漢詩の一節。春の夜の月を惜しむことばにつづいて、「花を踏んでは同じく惜しむ少年の春」とある。春は旅立ちや別れの時でもあり、多くの若者が惜別に立ち会う。現実には、おっさんにだって春はおとずれる。
[2017/03/07]
本が軽くなってしまふた冬の雲
本屋で久しぶりに立ち読みしての感想。どいつもこいつも本が軽薄になりやがった。紙質も文字のつくりも読みやすいけれども、それだけ。本棚に並べたいとは思わない。昭和の本屋は遠くなりにけり。
[2017/03/06]
本はおもい。たまる。かさばる。でも欲しい。
蔵書欲っていうのは、物欲である。買わない努力は物欲との葛藤なり。だから今日も、(時間も無いのに)本屋で立ち読み派。
[2017/03/05]
広島の西条まつりに行きたかった。
575にもなっていない。ただの文章。今日は酒都といわれる広島県西条の酒蔵通りでイベントがあったそうな。酒蔵めぐりか、いいなあ。 https://twitter.com/hiroshimakeizai/status/837262272317833218
[2017/03/04]
ふははははん♪るるるるるん♪春は~きぬ~
春は来ぬ。「きぬ」だよ。
[2017/03/03]
にょろにょろが風にもそもそ山嗤ふ
山の木々が風に揺れているのが、にょろにょろに見えた。ムーミンに出てくるあれ。
[2017/03/02]
無職とも玄人とも言へ春炬燵
ある時は無職を自認し、またある時はプロ意識を表だてる。中途半端な生き方といえなくもない。
[2017/03/01]
春めく陽のんびりすぎるけゑとら爺
あまりにとろとろ走る軽トラを、のどかな日には、けゑとらと呼ぼうか。
[2017/02/28]
悄れても土耳古桔梗や春を待つ
しおれる、の漢字はいくつかあるが、今日の気分は悄れる。
[2017/02/27]
冬ざれや夜魅せクレーン昼は錆
夜景として美しかったクレーンは昼見ると痛々しかった。
[2017/02/26]
冬茜クレーンが息む麒麟のごと
まさしく冬茜の夕空を見て感歎。おりしも、ひうち灘の港湾ドックにはクレーンがネオン燈して聳えていた。これまた綺麗。
[2017/02/25]
安全を後に回してプレミアム
プレミアムフライデーで浮かれている場合か。2次補正予算に2億円。日常の安全の危うさに思いを致せよ、日本人。(→「今週のニュース」 http://junyo-snow.com/news_20170221.html )
[2017/02/24]
空揺れて障子わななく春の嵐
どんよりとした空。朝から不気味な風が吹き荒れていた。
[2017/02/23]
商売っ気なしの技術屋ロハで教う
パソコンが突然操作不能になった。緊急のサポートを求めて、近所の個人経営会社に電話で問い合わせたらすぐにいろいろ教えてくれた。(だめなら来店をと。)指示に従ったら復旧。大手の電話たらい回し会社と雲泥の差で感謝々々。
[2017/02/22]
うつむき往くマスク児童ら寒の戻り
小学生の登校風景を眺めていたら、一列にならんで一様に下向いてとぼとぼ歩くグループがあった。元気ないんだなあと哀しくなった。
[2017/02/21]
低迷な市議選新顔春一番
市議会議員選挙はちっとも盛り上がらない中、新顔が続続当選。気分を変えたいんだな大衆は。
[2017/02/20]
法要の延期を頼んでよろこばれ
こちらの都合で、というか、大阪から来るはずの教務(僧侶)がインフルエンザ罹患で来られなくなって、代講山積のため、無理に日延べを頼んだ方から御礼をいわれた。家族が順々風邪引きのため、回復後で有難いと。信心の出来た家の方は云うことが違う。
[2017/02/19]
違和寒なり工場の町を白山羊ゆく
寒の戻りを感じている時、異様な光景を目撃した。だから違和「寒」。大阪市に隣接する工場地帯(尼崎市某所)の歩道を白く大きいヤギが歩いていた。紐を手にした男を引っ張りつつ。
[2017/02/18]
ねちがえたネジ換え寝返るヌマガエル
寝違えて頸が痛い。ことばあそびで気を紛らわせている。
[2017/02/17]
風猛し旗振るはらはら大鳴門
大鳴門橋のうえで工事をしていた。ひとりの交通整理係が強風のなか、大きな旗をなびかせているのを見て思った。怖いなあ。機械にさせれば。
[2017/02/16]
土産物買わんとすれば臨時休
手土産を持参する時は直前に買うのがよいと思って、考えていたお土産を買いに行ったら、臨時休業。とほほ。
[2017/02/15]
夜八時田舎に復す選挙前
ひっきりなしに市議会議員選挙の名前の連呼がひびきわたっていたのも、夜八時にぴたりと止む。相も変わらぬ選挙手法にうんざり。
[2017/02/14]
たたたたたよものたんぼに冬陽差す
よもは、四方。どちらを向いてもなにもないたんぼの間を走って行った。
[2017/02/12]
災厄の参詣の手ひく女児ふたり
33歳の厄年とて久方ぶりにお参りしてこられた女性にお供して来た女児らが不安げ。お寺参りに慣れてほしいな。
[2017/02/11]
指の奥疼く午後には雪が舞う
4ヵ月半前の傷跡は見えないけれど内在している。
[2017/02/10]
独善に毒吐く吾居り月満ちる
書評のふりをした傲慢な文章を、文句たらたら読むわたしがいる。そんな自分も鬱陶しいと気が付けば、日が暮れてきた。
[2017/02/09]
童の句春まつまぶしさ沁みる老ゐ
お~いお茶のペットボトル掲載の小学生の句がまぶしかった。「わたしもじゅんび中」のようなことばが入っていた。つくづく我が身の老いを感じる。
[2017/02/08]
忘失と蘇生に惑ふ介護の冬
母に対する遠距離介護も3回目の冬となり、おどろき、ふりまわされること多し。それでも落ち着くと、案外当人はけろっとしていたりする。
[2017/02/07]
うかぶ月錯覚なりと科学者いひ
月がどのようにして誕生したのか、昔からさまざまな学説がある。地球の一部がちぎれて、その跡が太平洋との説は夢あふるる。現代科学の巨星アーウィン・シャピロは、見えているのは目の錯覚とするのが一番合理的な説明とのジョークで知られる。(2017年に出た新説が、今はもっとも確からしい。)
[2017/02/06]
まどぬらすあめかげがはふ寒暁に
雨の影が地を這うようにながれるのはアメーバの如し。
[2017/02/05]
羅刹女は上級鬼神法華守護
十羅刹女や鬼子母神は法華守護の諸神なんだから追い払う必要なし、なんだけどねえ。ちなみに下級の鬼は糞尿汚物を喰らい、中級は人骨、上級は精気を食すというが法華行者には害がない。
[2017/02/04]
節分に拙文つらね鬼もすべる
節分をテーマに一句ひねろうとしたが、だしゃれしか思い浮かばず。(蛇足ながら解説:鬼はわが己心にありて滑ってるであろ。)
[2017/02/03]
遺族弊るる荼毘は三日後冬の雲
姻戚で帰寂者があり大阪へ行ってきた。斎場が一杯で(友引にかかるわけでもないのに)葬儀は死後4日という。いま、都会はたいへん。遺族が倒れぬことを祈るばかり。
[2017/02/02]
無芸なり暦の上でといふ寒さ
まだまだ寒い日が続きます。
[2017/02/01]
麦わらを冬に買うより金塔婆
本山境内には金塔婆を納める供養塔(高さ10m)が立っている。金塔婆による回向供養は昭和50年代に始まり、宗門の将来の人づくり、施設作りの基金としての役割を果たしてきた。(麦わら帽子は冬に買えとは相場師の格言。)
[2017/01/31]
雨息(や)むでゴミ出し軽(かろ)し春節日
春節は中国の祝祭日で旧暦正月。われわれとは何の関係も無いといってしまえばそれまでだが。ちょいと目でたい日。
[2017/01/30]
絶滅を憂へし鹿を今は狩る
ニホンジカだけの話ではない。人間のその場その場の都合で保護せよといってみたり捕獲せよといってみたり。(捕獲とは捕殺です。)増えすぎたのはホモサピエンス。
[2017/01/29]
弟の墓参りする九十六
92歳で亡くなりまもなく一周忌を迎える故人の墓参を頼まれて、ご家族と参詣してみると先客は実兄。御歳96。麗かな日和とはいえ真冬に、足取りもおぼつかない様子で参じた姿に敬服。
[2017/01/28]
朝が来て育つもあれば萎えるのも
陽が昇りくる山の端をみつつ無常を思ひて詠める。昨日の山の端と今日のそれは似ていても、真実は育つ木々もあれば衰えるもある。
[2017/01/27]
竹はかれ梅さきほこる凍てし朝
朝の気温は氷点下。正月の松竹梅もそろそろ模様替えが必要か。(大仕事ゆえ先延ばししよ。)
[2017/01/26]
大流行「病んでる彼女」病んでない
作業しながらたまたまWEBで聞いたヒットチャート。とんでもないロック歌詞かと思うたが結構健全。
[2017/01/25]
やはらかな冷気しづかに日なたぼこ
気温は低いが風なく、陽があたるところは清清しい気配に包まれている。寒波は過ぎ去ったようだ。
[2017/01/24]
お気に入りを寝床にて読む冬の朝
いつもより30分早く目覚めたものの起き出さず、枕元に置いてあった本の再読をはじめた。冷え込む朝のささやかな福一時。
[2017/01/23]
喧騒をのがれて入るも囂し
私語厳禁のエリアまでもお構いなしの××。これが日曜の現実。
[2017/01/22]
甲骨の雪の字 罪に見え哀し
書家(華雪)の一文字作品が「罪」みたいだつた。甲骨文字で書かれた雪と分かって、嬉しくなかった。わたしの日号は日雪。
[2017/01/21]
百鼠四十八茶に好み捜し
鼠色に100種、茶色に48種あるという。本当の自分好みの色を捜した経験は無いように思えてきたなあ。
[2017/01/20]
若き日の朋逝くに唯遠くから
学生時代に多くの時間を共有した、朋友の一人、妹の如き者が若くして帰寂した。駆け付けてはやれず、一人で回向唱題。
[2017/01/19]
何事も仏祖のはからい 吾を諭す
自分を説得するのが一番苦労する。(それでいいのだ)
[2017/01/18]
我ながらお人好しにもほどがあろ
自画自賛ではない。どちらかといえば情けない思いが勝っている。
[2017/01/17]
忘れても忘れなくても迷惑な
迷惑な輩は、根っから迷惑な生き方をしていることが少なくない。
[2017/01/16]
わびぬれど聞く人あらば延々と
闘病者が長々と話すのは疲れると思うのですが。
[2017/01/15]
階段が夢の中ではねじり花
夢のなかではさまざまな物が変幻自在にうつろう。こころに秘めた希望の象徴であるのかも知れないし、哀しみの具象化なのかもしれない。
[2017/01/14]
冬の道ひなた求めて遠回り
明日から大寒波到来と聞き、ウォーキングは今日のうちに、と出掛けたはいいが寒い。ひなた、ひなたを求め歩く自分を俯瞰してみると滑稽。
[2017/01/13]
日毎冴え遂に満ち足り 明けの月
未明の西の空、低いところにくっきりとした満月。ほんに寒くなってきた。
[2017/01/12]
怪我人に言えぬ血しぶき大掃除
寺の階段から転げ落ちて頭部から血を流していた老信徒を救急車で搬送。当人は幸い外傷を縫合するたげて済んだが、戻ってから大掃除が待っていた。それくらい良しとせねば、せねば。
[2017/01/11]
冬バテとや いずれ年中バテるらん
昭和の時代には無かった言葉。時代に乗り遅れるのが幸せか。
[2017/01/10]
独り飯 居並ぶ奥から調理音
外出していて昼食を取り損ね、3時ころ見知らぬ食堂に飛び込んだ。ひとりで喰う客ばかりカウンターに並び、店の中は静まりかえっているのだが。それがために厨房の音が小気味よく聞こえてくる。空腹時、束の間のやすらぎ。
[2017/01/09]
和ジャズなり津軽三味線今を行く
ラジオで聞いた、トランペッター島裕介と津軽三味線小山豊のコラボが耳に心地良い。ジャズと三味線に共通する即興性の味はいける。若者たちに拍手。
[2017/01/08]
供物見て誰が来たのか分かりけり
納骨堂にそっとお供えを置いて帰る人は多い。今日は缶ビール(アサヒ)と定番らしきつまみ菓子があった。父親への年始あいさつなのだ。
[2017/01/07]
うぇぶさいと不具合続出まあいいか
表示の不具合がネット上で起きているのか、自分のPCの上で起きているのか、はたまた両方か。苦闘しているうちに、たかがHPと割り切れたら最低限の処置で満足できた。もしも、看過できない異常があったら教えて頂戴。こちらまで→junyo_i@yahoo.co.jp
[2017/01/06]
寄り道の音楽喫茶に憩う親爺
徳島自動車道を通っていて、ふと思い出した音楽喫茶の存在。時間があったので迂回して、カーナビたよりに初めて、恐る恐る入る。BGMはクラシック。時にはステージ演奏もあるような。客層はやっぱり、中年親爺ばっかり。
[2017/01/05]
いづこにも必ず居てる無神経
他人の気持ちを斟酌するることのできない人。変われないのか、若いうちに。老いると確実にぼけている。あわれなり。
[2017/01/04]
大発見三年(みとせ)気づかぬ古本屋
うちの寺から車でわずか2分。昔ながらの、小綺麗な古書店を見つけた。マンガ類の無いのが何より。県内の画家の絵が飾られているが、その中に当山信徒のHさんの小品があつた。益々親近感がわく。
[2017/01/03]
年始とて餅喰て終わる命のあり
東京消防庁は、餅は小さく切ってゆっくりかんでから飲み込むよう注意を呼びかけています。(TBS系(JNN)ニュースより。)当人が本望であれ無念であれ、家族は辛いな。私もひとごとではない。合掌
[2017/01/02]
狐狸いずれが主の年ならん
騙す人、誤魔化す人、陥れる人。しらばっくれる人。どんな人にも新年が来る。主導権をにぎる最高の×××はどなたかしら。(元日早早御免下され。)
[2017/01/01]
金屈巵(きんくつし)こんな器で酒呑まば
李白の詩に登場する酒器。WEB検索しても(中国語でも)画像は極めて少ない。実物は現存しないのか。
[2016/12/31]
かわらけの漢字忘れて一服せり
新年祝盃の用意をしようとして、かわらけの漢字が気になりだした。何かといえば即休憩の師走。(どきっ。)
[2016/12/30]
クッキー缶提げて帰省す好男子
関東の大学に通う男子学生が歳末に帰省して、お寺へお供物を持参。東京限定のクッキー、円筒缶ひとつだけ手に持って。かわいいなあ。
[2016/12/29]
黙祷を知らない人間多すぎる
黙祷とは何なのか。どうすればいいのか。日本人の多くはきちんと学んだことがないように思う。安倍首相の真珠湾訪問・えひめ丸事故追悼の写真を見て不安になった。わが私見はこちら→http://junyo-snow.com/news_20161228.html
[2016/12/28]
吾が祖師のお裹頭(かとう)代えて春迎ふ
裹頭(かとう)は僧侶の法衣資具の一つ。着物の襟元にかぶせて首廻りをつつむ。冬は防寒にもなる。御尊像のお裹頭を新調の羽二重とお取り替えさせていただいた。迎春準備のなかでも肝心のお給仕。
[2016/12/27]
生きているイイじゃないかそれだけで
不満不平は言い出したらキリがない。
[2016/12/26]
先例に倣うは先師敬礼ゆえ
お寺というところは、良くも悪くも先例・慣例を大切にする向きがある。唯わすれてならないのは、先輩を敬うことは師を敬うに同じの大原則。給仕の道。
[2016/12/25]
電話のみで話拗(こじ)れて意思不通
思いを伝えるための電話を幾つも介し、却って意思疏通がはばまれている現実にうんざり。
[2016/12/24]
体調が悪いというのに酒を買い
スーパーマーケットをぶらぶらと、明朝の御修行(法要)のお供物を探していて、アルコール売り場に足が向いていた。
[2016/12/23]
FMのクラシック皆哀しくて
そんな日もある。生きてあれば。昼に、白鳥の湖も鳴っていた。
[2016/12/22]
冬の広場延々電話の女独り
図書館に行く時も帰る時も、そばの公園のベンチで同じ女性を見た。時間にして70分ほど経っていたが、様子の変わったところは、組んでいる足が反対になっただけ。冬というのに、若いねえ。
[2016/12/21]
始まりも終わりもあるさ裸並木
葉を落とした街路樹ケヤキのならぶ道。わたしは寒空に一層寒々とするので好きではないが。
[2016/12/20]
無理すなと人には言える愚か者
嗚呼、しんど。
[2016/12/19]
愛別離苦怨憎会苦は道連れ
四苦八苦の教えは永遠の真理なのだなあ。
[2016/12/18]
熱線が瞼に刺さる冬日向
冬のよく晴れた午前中は日差しが低角度で飛び込んでくる。東に向いて走る車中にいると、なおさら眩しい。
[2016/12/17]
忙殺という名の救い不眠なし
真の救いなのか、ごまかしなのかは不明。
[2016/12/16]
年の瀬に訃報次々腑が曇る
夜が明けると、おもては晴れてきたというのに。
[2016/12/15]
語意の海泳ぎ疲れて酒を呑む
佛立事典編集のお手伝い作業が昂じたか、もともとそういう人種だったのか、言葉の意味を探求し続けていると、ふと人生を問いたくなるようだ。
[2016/12/14]
迎春の支度は埃まみれから
今日は事始め。大掃除にかかる前の片付けだけで、結構ほこりまみれ、汗まみれ。
[2016/12/13]
因縁を感じてしまう同じ命日
今日は先師の祥月ご命日だなあと思っていたら、ある信徒の亡夫33回忌でもあり、また弱冠19歳で逝去した縁ある青年の3回忌でもあった。懇ろに回向唱題させていただいた今朝はすっかり冷え込んだ。
[2016/12/12]
自業自得自分が言えば腹立たず
人から言われたら素直になれないことって多々有り。
[2016/12/11]
想い出の調べに涙腺こわれたか
ラジオから流れてきた楽曲のあまりの懐かしさに、Ah。こんなこともあるのだなあ。
[2016/12/10]
除夜の鐘騒音訴訟に進むのか
除夜の鐘を近隣からのクレームで自粛する寺が増えているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161208-00010000-abemav-soci
わが宗旨では、もともと鐘撞き習慣が無いが、早朝勤行に対するクレームは昔からあるある。この先もっと、あとから移り住んできた人間がとやかく言う時代になっちまうのか。
[2016/12/9]
地味紅葉グラサン越しが美しき
高速道路徳島道でみた山々の色合いは、肉眼ではしょぼすぎたんだが。
[2016/12/8]
雲のごとはぐれてみたい小春日和
晴れた冬空に雲が気持ちよさそうに浮かんでいた。
[2016/12/7]
古塔婆古位牌をば火に浄む
ご信者の畑を拝借して浄火の奉仕ご奉公。風もなく麗かな陽と施主に感謝。
[2016/12/6]
落ち葉焚きしていた冬の遠くなり
公園の落ち葉を見ていて思いだした昔の光景。焼き芋だって、した。そっちのほうが楽しみだったのか、落ち葉集めそのものが愉快だったのか、そんな記憶も曖昧に。
[2016/12/5]
液体の表面張力盛り上がる
今日の午前中は薫化会(こども会)で数種の液体の表面張力を比べるなどして、科学的な実験ゲームを楽しんだ。使用した10円玉は総計500枚くらいかなあ。
[2016/12/4]
遠出する直前パンク災軽受(きょうじゅ)
高松へ出向する前に、某信徒宅を訪れようと早く出発した途端、車の前輪左側がバースト。てんやわんやで信徒宅訪問は延引したが、高松のお寺には何の迷惑もかけずに済んでやれやれ。
[2016/12/3]
邦訳のわざに屈する歓喜あれ
凄い翻訳書に出遭うた。タイトルの訳が鮮やかで、まんまとはまって読んだ。イアン・レズリー著『子どもは40000回質問する』須川綾子訳。http://www.kotensinyaku.jp/archives/2016/04/006599.html
[2016/12/2]
始めるは易く終(しま)うは難し さて
毎日575を詠むのが聊か疲れてきた。いや、正確には飽きてきた。
[2016/12/1]
星のない夜寒に稿措き独り酒
急ぎの原稿が片付いてないんだけど。
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/12/9]
[2016/12/8]
雲のごとはぐれてみたい小春日和
晴れた冬空に雲が気持ちよさそうに浮かんでいた。
[2016/12/7]
古塔婆古位牌をば火に浄む
ご信者の畑を拝借して浄火の奉仕ご奉公。風もなく麗かな陽と施主に感謝。
[2016/12/6]
落ち葉焚きしていた冬の遠くなり
公園の落ち葉を見ていて思いだした昔の光景。焼き芋だって、した。そっちのほうが楽しみだったのか、落ち葉集めそのものが愉快だったのか、そんな記憶も曖昧に。
[2016/12/5]
液体の表面張力盛り上がる
今日の午前中は薫化会(こども会)で数種の液体の表面張力を比べるなどして、科学的な実験ゲームを楽しんだ。使用した10円玉は総計500枚くらいかなあ。
[2016/12/4]
遠出する直前パンク災軽受(きょうじゅ)
高松へ出向する前に、某信徒宅を訪れようと早く出発した途端、車の前輪左側がバースト。てんやわんやで信徒宅訪問は延引したが、高松のお寺には何の迷惑もかけずに済んでやれやれ。
[2016/12/3]
邦訳のわざに屈する歓喜あれ
凄い翻訳書に出遭うた。タイトルの訳が鮮やかで、まんまとはまって読んだ。イアン・レズリー著『子どもは40000回質問する』須川綾子訳。http://www.kotensinyaku.jp/archives/2016/04/006599.html
[2016/12/2]
始めるは易く終(しま)うは難し さて
毎日575を詠むのが聊か疲れてきた。いや、正確には飽きてきた。
[2016/12/1]
星のない夜寒に稿措き独り酒
急ぎの原稿が片付いてないんだけど。
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/12/7]
[2016/12/6]
落ち葉焚きしていた冬の遠くなり
公園の落ち葉を見ていて思いだした昔の光景。焼き芋だって、した。そっちのほうが楽しみだったのか、落ち葉集めそのものが愉快だったのか、そんな記憶も曖昧に。
[2016/12/5]
液体の表面張力盛り上がる
今日の午前中は薫化会(こども会)で数種の液体の表面張力を比べるなどして、科学的な実験ゲームを楽しんだ。使用した10円玉は総計500枚くらいかなあ。
[2016/12/4]
遠出する直前パンク災軽受(きょうじゅ)
高松へ出向する前に、某信徒宅を訪れようと早く出発した途端、車の前輪左側がバースト。てんやわんやで信徒宅訪問は延引したが、高松のお寺には何の迷惑もかけずに済んでやれやれ。
[2016/12/3]
邦訳のわざに屈する歓喜あれ
凄い翻訳書に出遭うた。タイトルの訳が鮮やかで、まんまとはまって読んだ。イアン・レズリー著『子どもは40000回質問する』須川綾子訳。http://www.kotensinyaku.jp/archives/2016/04/006599.html
[2016/12/2]
始めるは易く終(しま)うは難し さて
毎日575を詠むのが聊か疲れてきた。いや、正確には飽きてきた。
[2016/12/1]
星のない夜寒に稿措き独り酒
急ぎの原稿が片付いてないんだけど。
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/12/5]
[2016/12/4]
遠出する直前パンク災軽受(きょうじゅ)
高松へ出向する前に、某信徒宅を訪れようと早く出発した途端、車の前輪左側がバースト。てんやわんやで信徒宅訪問は延引したが、高松のお寺には何の迷惑もかけずに済んでやれやれ。
[2016/12/3]
邦訳のわざに屈する歓喜あれ
凄い翻訳書に出遭うた。タイトルの訳が鮮やかで、まんまとはまって読んだ。イアン・レズリー著『子どもは40000回質問する』須川綾子訳。http://www.kotensinyaku.jp/archives/2016/04/006599.html
[2016/12/2]
始めるは易く終(しま)うは難し さて
毎日575を詠むのが聊か疲れてきた。いや、正確には飽きてきた。
[2016/12/1]
星のない夜寒に稿措き独り酒
急ぎの原稿が片付いてないんだけど。
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/12/3]
[2016/12/2]
始めるは易く終(しま)うは難し さて
毎日575を詠むのが聊か疲れてきた。いや、正確には飽きてきた。
[2016/12/1]
星のない夜寒に稿措き独り酒
急ぎの原稿が片付いてないんだけど。
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/12/1]
[2016/11/30]
薬喰い喰いたいものを喰う霊長
人間は所詮は貪欲でわがまま。そこから目をそむけたら偽善となる。
[2016/11/29]
イスラムの魔笛を己心に見つけてし
報復なんて感情を嫌悪してきたつもりだが、案外、だれの心にも潜んでいるのかもしれない。
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/29]
[2016/11/28]
先延ばしして待つだけの生き方も
頼み事が有りながら自分からは連絡をせずに、誰かが案じて訊ねてくれるのを待っている人がある。今夜はそんな人に一年ぶりに電話した。
[2016/11/27]
コンビニのフェンスに群がる雀子ら
実家の近くのコンビニ駐車場で見た光景。しきりに停まったり離れたり可愛すぎ。
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/27]
[2016/11/26]
母寝ぼけマッサージ師と息子間違う
深夜に母の床ずれ防止のために介助していた時のはなし。あとから聞けば、今世話になっているリハビリ・マッサージ師は丸坊主なんだと。
[2016/11/25]
ぐるじみもだのじみも呑み込み唱ふ
わが祖曰わく、苦楽ともに思い合わせて南無妙法蓮華経と云云。
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/25]
[2016/11/24]
みぞれ降る心のなかにも降る
朝の勤行時間にみぞれが降ったと聞いた。冬がやって来た。祈りのなかなか届かない朝。
[2016/11/23]
津波襲う彼の地を案じ唯いのる
今朝、福島県沖で又大きな地震が発生し東北沿岸に津波が。安否確認の電話などもすぐには憚られる。祈るのみ。
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/23]
[2016/11/22]
生きてさえあれば夢見る楽しみの有り
世の中うまくいかない事ばかりでも、それぞれに命さえ大事に永らえていれば、いつかきっと。
[2016/11/21]
祈るなら土壇場の際まで祈れ
切なる願いならば、ぎりぎり目一杯の果ての果てまで祈り徹すのが、祈りなり。自呵自責。
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/21]
[2016/11/20]
歌声に揺さぶらるゝ哉 詞は陀羅尼(だらに)
ラジオから流れてきた歌に、どうした加減か胸がざわめく。歌詞ははっきりと聴き取れないのだが、こころに響いたということか。陀羅尼とは、呪文と解すると判りよい。
[2016/11/19]
街中に出て駆除さる猪にも家族
新居浜市内で中学生らに次々と接触したイノシシが猟友会の手で駆除されたと聞く。なんだかなあ。合掌
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/19]
[2016/11/18]
再発す 本を買いたい症候群
まいった。長らくのあいだ、本は極力買わずに図書館めぐり・図書館利用を心がけてきたのに、無性に本を買いたくなった。あの本一冊とかいうんじゃなくて、持ちきれるだけの大量買い。(当分、本屋の看板が見える一帯を危険区域に指定。)
[2016/11/17]
闇ゆえに陰惨を産む日本国
北欧の小国エストニアが電子立国して、驚異的なまでの情報公開を国家挙げて推進している。公務員の給料丸見えなどは序の口。エストニアでは「明るいところでは犯罪が起きにくい」という。参考書はこれ。→『未来型国家エストニアの挑戦』
[2016/11/16]
誤字誤釈人間だもので済ませるな
印刷物に誤字や誤釈は付きものだが、後世に残すべく製作された書物のそれらがいつまでもそのまま継承されていくのは、自分が関わっているとなると悲しすぎる。いま、事典編纂の真っ最中。
[2016/11/15]
昼も夜も客なし電話も宅配も
外界と隔絶した、めずらしい一日。それは幸せか不幸せか。
[2016/11/14]
紅葉といへば艶やか名優富士子
わかるひとには判る連想ゲームの世界だ。紅葉を見てにわかに思い出した映画のワンシーンを詠んでみた。※映画タイトルは、こちら→http://www.nensy-web.cc/shopping/item/19645.html (制作年はVHSの製作年)
[2016/11/13]
法門で鼠と猫を間違へり
鼠が餅引く、の説明をするつもりが、ネコと口走っていた。聴衆数人がすぐに気付いてアイコンタクトしてきた。あ、どうも。
[2016/11/12]
くたぶれた気がくたぶれた奔走日
東奔西走したとはいえ車で移動し、いずこでも座している時間が一番長いから肉体疲労ではない。こういう夜はすんなり寝付けない。
[2016/11/11]
ウォームビズどこ吹く風の郵便局
とある郵便局へ行った。おそろしき暖房に気分がわるくなった。人の出入りが多いときには、それくらい必要なのかも、と思わないでもないが。真剣にウォームビズに努めているのは貧しい家庭だけのような気がする。
[2016/11/10]
米国のトップ選挙にゆらぐ国
アメリカ合衆国大統領の選挙結果ニュースは騒々しい。影響力の大きさを否定はしないが、ほんとうの大事は日本政府がアメリカ大統領とどう向き合うか、だろ。日本は属国ではないぞ。
[2016/11/09]
久方の奉安式や雨温(ぬく)し
新しいご信者宅に御本尊をおまつりに出向いた。折悪しく小雨が降ったり止んだりであったが、年配夫婦の、信者としての初々しさに心あらわれる思いがした。
[2016/11/08]
雲のなき空に半月独りきり
今宵は寒空を見ながら倉庫へ行き、ストーブ用に灯油タンクを運び出した。半月って何だかさみしい。
[2016/11/07]
鳥取の地震募金のへなちょろけ
鳥取県中部地震の義捐金募集を御会式(日蓮大菩薩御会式)に併せて実施したが、なさけない結果に。死者が出なくてなによりと聞いているが、関心の低さに繋がるもよう。同県のお寺やご信者に被害があったことを披露してはいたが。
[2016/11/06]
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。
きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/11/17]
[2016/11/16]
[2016/11/15]
[2016/11/14]
[2016/11/13]
[2016/11/12]
[2016/11/11]
[2016/11/10]
[2016/11/09]
[2016/11/08]
[2016/11/07]
[2016/11/06]
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
蒟蒻(こんにゃく)煮店頭表示は筑前煮
筑前煮と表しながら、人参なんぞは申し訳程度に極小の一かけらのみ。野菜が高騰し、家計も、学校給食も直撃している。
[2016/11/05]
地彼旅昭和が遠くなりにけり
ちかれたびー。昭和なコマーシャルにありました。※地彼旅とは、わがPCによる変換語。
[2016/11/04]
独学に落とし穴あり勝手訓(よ)み
『戦国策』に出てくる「智者は未萌に見る」のなかの「未萌」をこれまで「みほう」と読んでいたが、一般には「みぼう」らしいことが判明。(その場合の一般とは学者・識者をさす。)ちなみに、わがPC搭載の辞典では「みほう」しか無いんですが。
[2016/11/03]
稔る傍(はた)重機続続閑地えぐる
稔りの秋。農業の休閑地か放棄地か知らないが広大な土地のあちらこちらで土木工事がどんどん進められている。農業特区関連の施設の建造もありそうだし、商業施設の誘致もあるかもしれない。実情をしらない傍観者には、秋の収穫が縮小されていく景色としか見えない。
[2016/11/02]
半年後釣り銭返す律儀かな
半年前に、とある業者に支払った経費のおつり返金通知とお詫び状が届いた。そういえばそんなことがありました。当時、残金が発生するかもしれない、と聞いた記憶が蘇る。なんだか得した気分になった自分がおかしかった。日本人万歳。
[2016/11/01]
蔵書移動 自己責任の重量よ
御会式を目前にして、延ばし延ばしにしてきた大量の蔵書移動を断行。負傷のため、やむを得ない面があるとはいえ、もう少し早く着手すべきだった。事典編纂のために一室を借り切って文献資料を広げていたのだが、移動するにも整理梱包は人任せにできない。ああ重い、本は、紙は。
[2016/10/31]
大掃除 最たる苦労は復旧
高祖大士御会式を1週間後にひかえての大掃除。人数が少ない上に、わたしより(やや)若い人は2人しかいない。何から何まで大変ではあるが、一番困るのは・・・動かした仏具類を元通りに配置できるのはわたし一人。
[2016/10/30]
電子タバコ人類の進歩か退廃か
今はいろんな電子タバコが売られているのですね。とっくの昔に禁煙・絶煙したわたしとしては、滑稽ですらあります。「電子タバコで寝たばこ」を楽しむなんてのは、退廃の極みなのでは。
[2016/10/29]
百寿とて子らが先逝く人生あり
三笠宮が昨日逝去。自身は長生きしたが三男・長男・次男が先に亡くなっている。長寿社会とは、老少不定があらわになる憂き世の異称なり。
[2016/10/28]
勝訴し金だけ手にし悔し悲し
東日本大震災で石巻市大川小の児童等が津波によって亡くなった責任を学校や市に問う裁判。証人尋問での当時の校長の回答(部分)を読む限り、いらいらする。http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/160409/evt16040909020031-n1.html
[2016/10/27]
薄鼠の蠱惑の肌に怖くなる
肌の色が薄ねずみ色だったら「蠱惑」(こわく)どころか「怖く」ないですか。日本におけるダダイストの魁、吉行エイスケの著作『新種族ノラ』の文章にある表現。
※吉行エイスケは吉行淳之介・吉行和子・吉行理恵の父。
[2016/10/26]
暇そうなマクドに爆睡男あり
ほんと久しぶりにマクド●●●に行った。閑散としている。さえない風体の男がひとりで4人掛けテーブル2つ占拠し、書類を広げて、爆睡中。ようやく復調ぎみ(らしい)のマクドだが、この店がすいているのは例外か、それとも・・・。(※大阪人はマックとは呼ばない。)
[2016/10/25]
年寄狙うお為ごかしを阻止したが
「ご家庭で不要な物を高く買い取ります」と、電話で言葉巧みに売買契約をもちかけ、老人宅に上がり込もうとする輩が続発していると聞く。今日、たまたま当該家を訊ねられたわたしが不審に思って追い返したのもそれ。かといって目をつけられているなら、再三あるだろう。いやな世の中だねえ。
[2016/10/24]
肌寒に冬衣着て扇風機
季節からすれば当然の衣更えなんだが、扇風機を片付けてなくて良かった。例年、よくある話。
[2016/10/23]
日本シリーズ男気黒田は三戦目
プロ野球の日本一を決める日本シリーズ開幕前に、3戦目の広島先発投手が予告された。7戦の試合運びをとやかく評する材料も能力もわたしにはないが、序盤で広島が勝っても負けても3戦目に黒田とわかっているだけで野球ファンの盛り上がりは半端ないだろう。彼の引退表明もショービジネスの一端に違いない。
[2016/10/22]
米国と決別宣言してごらん
フィリピンのドゥテルテ大統領が中国訪問中に、同盟国米国との決別を明言したとか。この大統領は口の悪さでは定評があるが、国民の絶対的支持もある。この手の発言を外交力・政治力として見れば、日本人の感覚からは遠い気がするけれども、これくらい言えなくては今後の国際社会の荒波を乗り越えられないのかもしれない。日本の総理がそんな発言する日は来るのだろうか。
[2016/10/21]
傷負うた逆の手酷使で疵(きず)うずく
人間のからだの不思議なことよ。負傷した手指を庇いつづけているのに、反対の手に負荷が掛かりすぎても、傷口がいたむ。
[2016/10/20]
諸行無常GS消え色なき風
行きつけのガソリンスタンドがまた一店閉鎖となる。GSといってグループサウンズを思い浮かべるといえば世代が知れる。色なき風は古式ゆかしき、秋の季語。
[2016/10/19]
志まことに有る人無欲なり
寺は有形無形の有志で護られている。有志者の氏名金額公表にこだわる人や、ほめことば期待の見え見えもあるが、真逆の御仁があるも真実。
[2016/10/18]
魄落ちて魂迷ふても光あり
魂魄なんて概念は中国古典かぶれの産物にちがいないが、一分の理があると感じるのは自分もまたかぶれているからなのだろ。そんな思想に仮託して信心を語るとこんなふうになるのかなあ。
[2016/10/17]
まつり後ふぬけのまちとなりにけり
騒々しい地方祭の前半が終わった。夜はどんちゃん騒ぎして、昼間はしずか。
[2016/10/16]
うちうみの潮にながされふねおくれし
神戸(こうべ)からフェリーで高松へ渡って、法要を勤めに出向いた。時間的余裕はたつぷりあつたはずなのに、船が遅れて冷や汗もの。見た目にはおだやかな波だつたのだが。
[2016/10/15]
露天の湯 蜂を目で追う 息殺し
たまの銭湯の楽しみは露天風呂なのだが、リラックスどころか変な緊張をして、ちょっと損した気分。
[2016/10/14]
低速で 走っても真っ赤なポルシェ
高速道路を、信じられないとろとろ運転のポルシェ。それでもカッコイイ。
[2016/10/13]
たどれない 引用文の生まれ 何処(どこ)
文献を手書きで写しとっていた時代は原典に忠実でない本がごまんとあった。昔の人はおおらかで誤字脱字や多少の文章改変に無頓着なように見受けられる。意味が伝わりさえすればOKてな具合。でも、何世代にもわたってそれが繰り返されると、まったく別の文章に変貌する可能性は排除できないんだが。
[2016/10/12]
生きてゐます 祖師尊像と 眼に映る
わけあって新居浜のお寺の本堂で、ひとりで3時間ほど口唱させていただいた。後半、椅子席がつらくなり、外陣の中央に正座してのお看経中、お祖師様のお顔がなんとも柔和、活き活きとなられた。うれしくて陶酔に近い心地。
[2016/10/11]
墓の下 土に還さぬ 家増えし
墓地納骨の回向にでかけてきた。現代のお墓は、墓石の下がコンクリート壁などの納骨室タイプになっているのがほとんどだろう。しかも骨壺のまま納めることが一般的。(そうでない納骨作法を経験したのは、もう20年以上前か。)つまり二重に収納されている。土に還す風習はいつごろから消えたのだろうか。
[2016/10/10]
衣更え 九日遅れ お詫び申す
負傷のために延ばし延ばしにしていることが多々あり。なかでも祖師ご尊像のお衣更え(お裹頭お取り替え)が遅れていたことをお詫びしつつ、今朝無事に給仕完了。(朝はすっかり涼しくなってきたから、これ以上の延期は申し訳ない。)
[2016/10/09]
再開を 望まないのに ひらく口
傷口が、ひらいた。
[2016/10/08]
左手で 習字してみりゃ そこそこに
信徒宅で御講をつとめる際には、いつも御教歌を半紙に書いて持参し掲示している。今、右手指が不自由なので試しに左手で書いてみたら、案外、字が書けた。歪な字面ではあるが読めるから可としよう。
[2016/10/07]
祖師のため 今年も独り お綿折る
祖師(日蓮聖人)尊像(御木像)のおつむには毎冬あたらしいお綿をお掛け申し上げるために、小袖綿を買って謹製する。寺の御尊像のみならず信徒宅の分も。うちの寺はかねて教務(僧侶)だけでお綿を折ってきた流れで、奉仕者は今わたし一人。黙々と粛粛と。(怪我の割りには所要時間は例年並み。)
[2016/10/06]
七日間 酒飲まいでも 生きてゐる
何年ぶりだろ。記憶にない。
[2016/10/05]
勤行の 荘厳(しょうごん)毀す ヤモリ獲り
厳粛理に朝の勤行が始まった矢先、ご信者の奇声。ヤモリ出現で呼ばれては、じっと座していられない。追いかけ回し、使える片手で捕獲。ご信者に窓をあけてもらって、本堂の外へ放り出した。ヤモリの徘徊は日常茶飯事なので、わたしひとりなら勤行中は無視するのだが。
[2016/10/04]
なんもかも うっちゃってする 昼読書
怪我のために、うじうじいらいらしていても仕方ない。何をしても(お看経以外は)時間と労力を無駄に消耗する。ならば今日の午後は一切の寺務を放置して読書三昧。
[2016/10/03]
怪我をして 酒控えるも 計らいか
わが脳は、怪我のおかげで三晩アルコールを欲しないでいる。4日目となる今晩はそろそろ欲しくなるかもしれないが、控えておこう。その分、夜のお看経時間が延びているのは仏祖の計らいなのだから。
[2016/10/02]
サッソーと駆ける女(め)過ぎて ぼてぼてっ?
前方からいかにもジョギングしてますって出で立ちの中年女性が脇目も振らず駆けてきて、通り過ぎたのを振り返り見ると、あらららら。さっきと走り方が違うよ。走るのに人の目気にしすぎじゃないですか。そら疲れるわ。
[2016/10/01]
指痛め 頭洗いに 床屋行く
手の人差し指の激痛止まず。御修行日を前に自分で頭髪も洗えず。床屋でシャンプーしてもらって気分爽快。ついでに散髪も。
[2016/09/30]
指ざっくり 包(くる)む艾(もぐさ)の かろき哉
未明から仏花の手直しをしなければならなかったのだが、慌てるのと、まだ寝ぼけているのとが禍して花鋏で指を勢いよく切った。急いでガーゼを当てた。そのタイミングでご信者からメールが届いたので、即刻電話をかけて事態を説明したところ、もぐさを持って飛んできてくださった。こんな止血は初体験。しばし激痛が走るが事無きを得た。
[2016/09/29]
パガニーニ すは蘇る タガニーゼ
夜、FMラジオから流れてきたのはバイオリン協奏曲。パガニーニというバイオリニスト・作曲家の作品。パガニーニという語感が何だか懐かしかった。はじめ、タガニーニに聞こえたのだ。タガニーニ? タガニーゼの親戚? タガニーゼは漫画ルパン三世に登場した謎の音楽家なのだが、その正体は銭形警部。ゼニガタを逆さ読みして出来た名前。ああ懐かしの高校時代。
[2016/09/28]
「動物有」 無機質標示 反芻し
高速道路いよ西条ICの入口に「動物有」との標示があった。あいにく(?)反対方向に走っていったので事実確認はできていないが、動物の死骸に注意せよとの意味だろう。法的にはモノでしか動物。死骸が人間なら「人間有」とは標示しない。理屈はわかるが、なんだかやりきれない思いでそのことがいつまでも脳裏から離れず。
[2016/09/27]
背後から 題目一唱のみで消ゆ
今朝はいつもの開門参詣者が遠出されて不在。我ひとりの静かな本堂。さあ唱題というタイミングで、まうしろから低音の大きな声で「南無妙法蓮華経」と一遍だけ聞こえ、背筋がぞくっとした。どなたであったのか。
[2016/09/26]
場違いに 気付かなければ よいものを
昨晩、参照したいコミック本があって市内の本屋や出掛けたが、3年前の漫画は既に時節外れなのか、置いてなかった。そのまま物珍しさでコミック本の棚をながめていたのだが、ふと視線が気になったとき、少女コミックの一角にいた。急に居心地の悪さを覚えた。
[2016/09/25]
不審車の 嫌疑で写メを 撮らるる秋
新居浜のお寺の境内に駐車しておいたら、わたしの車が変わったことをご存じでないご信者が怪しんで証拠写真を撮っていた。秋のはじめの一コマ。
[2016/09/24]
大相撲 ええど ええど ゴーエードー
平成28年9月場所。12日終わって全勝は豪栄道ひとり。その勢いで初優勝まで突っ走れ。大阪出身力士86年ぶりの優勝を見せてみろ。もちろんわたしは、大阪生まれ。
[2016/09/23]
台風と 遠方と葬儀で 疲労じんじん
18日から一昨日にかけての台風の中、県外へ通夜や葬儀に往き来して、疲労マックスに。甚甚の緊張疲れが1日おいて来るのは歳のせいだな。
[2016/09/22]
暴虐な 夢から覚めて 肌寒し
寝る前に、映画の予告動画でバイオレンスシーンを観たのがひびいたらしい。中途半端な時刻に目覚めたとき、随分気温が下がっていて寒気がした。体感としての寒気が情感としての寒気を誘発したのかもしれない。
[2016/09/21]
天覆う 灰濁色の 重畳雲
台風16号の過ぎ去った直後、瀬戸内の空一面に重たい雲が拡がっていた。塊ごとに階調の異なる雲が、山の涯にも海の涯までも。
[2016/09/20]
留守に来て 「いつも留守」ちう 所在知れず
留守に訪ねてきては「いつも留守」とメッセージを残して帰る人がある。あなたの連絡先は知らないから、いかんともし難い。※「ちう」は文語で読みは「ちゅう」。「と言う」の意。
[2016/09/19]
敬老の 前日に逝く 百歳翁
本日午前1時、小寺の功労者かつ最長老が帰寂(寂光へ帰る)した。本年百歳の誕生日を待たずして、家族に見守られつつ自宅でしずかに息を引き取った。最後に大きく2回息を吸っての最期だったという。死後硬直も起こらない、見事な臨終の相。合掌。
[2016/09/18]
日傘差し 信号待つ婦の スクワット
ほんと驚いた。いかにも凜とした感じの婦人が歩いてきて赤信号で立ち止まった。片手に日傘を差した状態で、いきなり屈んでスクワット開始。お年は60歳台だろうか。昨日の岡山市内での一コマ。
[2016/09/17]
C.Schmitt 魔性の力 衰えず
カール・シュミット。恐るべき影響力をナチス・ドイツに与え、今もなおその思想の基礎概念が注目される政治学者だ。敵あるところに政治あり。人間は性悪ゆえに政治が必要、と論じた。完璧に西洋的な行動原理がぷんぷん臭ってくる。現代もなお、世界にはその臭いが充満している。
[2016/09/16]
酔い醒ます風聞デマでも 落ちつかず
数名の教務御導師方と食事中に、かつて寝食をともにした後輩の出奔のうわさが耳にいる。あちらこちらと問い合わせをしているうちにデマと判明。だからといって、宴を仕切り直してなぞという気分にはなれずお開きに。静かだけれど、こころ閑かでない夜。
[2016/09/15]
原稿紙 屑何万枚の 貘詩集
山之口貘さんの詩集を読む。2016年に出た岩波文庫。とても平易な現代口語の短編詩がならぶ。明治36年生まれ(昭和38年逝く)とわかってびっくりぎょうてん。きょうてんどうち。どうちましょう。10行20行くらいの詩を産むのに原稿用紙100枚、200枚、300枚と書き直したという推敲の鬼人。わたしの575のはずかしいことよ。
[2016/09/14]
罵詈(ばり)もがれ 婆ひそり逝く 宅老処
少々口の悪いお婆さんが居た。罵詈雑言を浴びせるのは親近感のしるしだった。その人が施設に入れられ、面会にいくとにこやかに迎えてくれていた。が、亡くなった。 きょう、施設の前を通った時、えがおの憎まれ口を思い出した。合掌
[2016/09/13]
晨朝の 勤め中ぞや 電話三度(みたび)
朝 7時台に何度も立て続けに、寺の電話がなりひびく。わたしのほかに誰かしら居る時は取ってくれるが、わたし一人のタイミングでは放置するよりない。お勤め以上に大事な用事は無いのだ。(緊急事態なら、また掛かってくるさ。実際、8時すぎに掛かってきたが、緊急でもなんでもなかった。寺の日課をご存じないだけ。)
[2016/09/12]
仕舞た屋に いつもある旗 特売日
しもた屋とは、商売していない、ふつうの家であるが、裏稼業をしていないとはいえない。今日もそんな佇まいの古家の横を歩いて通り過ぎた。いつ見ても塀には「特売日」と書いた旗がかけられているが、人の出入りを目撃したことはない。謎の家があちこちにある、田舎の住宅街。
[2016/09/11]
小鳥を轢く 子狐も轢く 車はゆく
道路の真ん中で小鳥が死んでいた。ほとんど原形を留めないほどに轢かれていた。一昨日は高速道路の真ん中で子狐が死んでいた。わたしも含めて車どもは通り過ぎて行く。妙法経力抜苦与楽合掌
[2016/09/10]
不思議の朝 帰りを待った ひと人ヒト
3日間不在にしていた。今朝はとても久しぶりのような心持ちで晨朝勤行をつとめたのだが、そのあいだも、終わってからも、見事なほどに入れ替わりで人がやって来た。ご信者の縁故者の葬儀依頼も引き受けてあげることが出来た。まさに仏縁哉。
[2016/09/09]
天色(あまいろ)亜麻色(あまいろ) 何でおんなじ 名にするの
(きのうの575の話題の続き・・・)色の名称として、どうして同じ音(おん)の名がそのまま存続しているのか。亜麻色は翻訳語なんだから、わかった時点で、誰か、何とか、しなかったのか? (ちっとも575になっていないのでありました。)
[2016/09/08]
肱川(ひじかわ)の 天色(あまいろ)冴えて 夏冽(きよ)し
一昨日、大洲のお寺に出向した折、指定時刻を間違えて1時間前に到着。そこで、はじめての市内散策に出掛けたのだが、清冽な肱川が眼前に拡がった。あたかも、直前までの霧が一気に晴れ渡ったかのようなすがすがしさで静謐感いっぱい。そこで見たアオ色をいかに表現すべきか和名色を探索しつづけ、遂に「天色」(別名、真空色[まそらいろ])に出会った。
[2016/09/07]
雨上がり 朝市みたり 樒(しきみ)ばかり
地元の農家が育てた花が一番に届く朝市は人気があるのだが、今朝は花卉コーナーに人影なし。大半が樒。盆や彼岸にはそれだけを目当ての客がわんさと来るものの、平素は店舗用に色花を安く大量に買い求める人でにぎわう。とはいえ老齢の作り手の立場になれば、その時どきの入荷の違いはわからないでもない。
[2016/09/06]
信号機 確かむる猫の白さよ
あけがた、新居浜のお寺へ向かう途次、赤信号で停止したら、丁度、横断歩道の左手に純白のネコが来た。信号機を見、左右を確かめてから、さっと歩道を駆け渡っていった。なかなか感心なネコであった。それだけのこと。
[2016/09/05]
曇天の どっこい緞帳(どんちょう) 朝ぼらけ
曇り空はふつう憂鬱をさそうように感じるのも先入観かもしれない。朝、東の空が白み始めるころの一瞬の朝焼けにみとれてしまつた。ほんの数分のドラマ。今日もがんばろう。
[2016/09/04]
石頭 くにゃくにゃになれ 読書しよ
きのう、「国家主権」のことを考えたり発言したりしてるうちに、自分の思考回路がちょいと右とか左とかに偏っているかなあと思い始めた。思想・政治にまつわる本はお気に入りの著者に限定しないように注意してるが、いつのまにか偏向してるかもしれん。知識・情報はランダムに読んで頭を柔らかくしよう。
[2016/09/03]
駛(は)せる単車 背(せな)で乱舞の 文字IMAZO(今造)
バイクで男が駆け抜けた。彼の真っ黒なTシャツの背中で文字が躍っていた。「IMAZO」。この界隈ではみんなそう呼ぶ、今治造船。ボート部のシャツかな? ひうち灘に陣取る工場は建造ラッシュが続いているが、儲けて狂喜乱舞している人間もあるのだろう。
[2016/09/02]
晩夏の朝 渋滞見下ろす 鳶に鴉
朝の通勤時間帯に今治へ向かう途中で、トンビが道路の街灯にふわりと舞い降りるのを見た。そのすぐ先の電柱にはカラスが羽を休めていた。かれらは見下ろしているだけなのだが、見下(くだ)しているのかもしれないと感じたのは、ほんの一瞬。
[2016/09/01]
畦道を 歩くは媼(おうな)か 白鷺か
田圃のあぜ道をそろりそろりと前屈みで歩く姿を目撃。全身真っ白な、その二本足はあたかも媼(おうな:老婆)であったが、翁(おきな:老爺)ではなかった。あとになって光景を思い出しても、まぎれもなく媼だった。
[2016/08/31]
肉厚の 雲塊拡がる 夕餉時
炎夏の雲とも初秋の雲とも思える夕空をながめながら車を走らせていると、何だか腹が減ってきた。
[2016/08/30]
日日迷い 夜夜惑いたり 駐車犯
不法駐車、迷惑駐車の輩は1,2回大目に見てやると、すぐに常習となる。煩悩に支配征服されてしまっている愚鈍を導くのは難しいものよ、哀れ。
[2016/08/29]
子ども食堂 大人のエゴで 飯まずし
貧しい食事や孤食を強いられている子らのための試みが全国的に拡がっている。理念は尊いものの、現実には心貧しい大人の理想の押しつけがあったり、自己中ファミリーのたまり場と化したりして、守られるべき該当児童が一層くるしめられる現実もある。「飯まずし」は「不味い」と「貧しい」を掛けたつもり。
[2016/08/28]
ゆがんでゆく 丑三つ時の 人面板
木目に限らず、さまざまな模様や物体などが人間の顔に見える現象をバレイドリア( Pareidolia)と呼ぶそうだ。わたしがいつもそう見える板の顔たちは、みな老いていて、エドヴァルド・ムンクの『叫び』以上に、どうにも歪んだ顔なのだ。馬齢通りや(バレイドーリヤ)と呼んでもいいと思っている。(嘘)
[2016/08/27]
夏ばての 幽霊だらり ハスの叢(むら)
西条市河原津の道端に大ぶりのハスの葉が群生している。この時期、葉陰から桃色の花一輪と数本の蓮の実が顔を覗かせているが、全體としてはちょっと不気味ですらある。それも命の在り方なのだ。
[2016/08/26]
禍禍(まがまが)しき 草がこよなく 地を愛す
境内の雑草の成長がいちじるしい。人間から見れば雑草なのだが、大地より観れば執拗なまでに愛してくれる存在であろう。現代人はどれほど大地を愛しているのだろうか。
[2016/08/25]
鴉(からす)より ぐろい田守の 破れ布
案山子(かかし)人形のかわりに用いられる黒い布きれが多数はためいていた。旗をよく見ると幾つかの円形の透かしが入っていて、目玉さながら。たいてい破れているのは自然と傷んだためだろうか、故意にそうしてあるのだろうか。アスファルトの路上のカラスは、車や人をあざわらうように跳びはねていて、可愛げがある。
[2016/08/24]
ツカレナオス パラオ気分で 星を見よ
パラオは外国でたぶん唯一、日本語を公用語にしている国。日本に統治されたにもかかわらず親日派が多いとか。「ツカレナオス」は日本語由来の言葉で、意味は「ビールを飲む」
[2016/08/23]
怪釈を 語れど信なし 学念仁
学念仁はわたしの造語。学問熱心な朴念仁とでもいったところか。日本の仏教学者には信仰心のないことを公言してはばからない人間が多い。とまれ仏教学は時代の志向性を反映しているから興味深い。(※かれらの仏教書も読みますが紹介はしません。)
[2016/08/22]
鈍(なまくら)になった體(からだ)に K4輪
軽四をマイカーとして所持したのは初めて。これまで、車の遍歴はだんだんグレードがナマケモノ志向になっていたことを再認識した。さすがに、この年齢で軽四に乗り替えての長距離移動は身に堪えた。(上り坂が)きつい、(路面の段差が)こたえる、(高速運転の騒音でオーディオが)きこえない、(燃料タンクが)こまい。それでも見た目で「かわいい」という人たちがいるが深意不明である。
[2016/08/21]
図書館に 母子多かり 夏の午後
夏休みの土曜の午後三時。図書館の横を車で減速しながら通った時、駐車場はさほど混んでいなかった。ならば涼んでいこうと立ち寄った。小学生の児童が母とペアでいるのがちらほら見える。年配のおじさんらが一様に単身で閲覧席を占有しているのは普段通り。
[2016/08/20]
見つからぬ 旧の愛車を 探し居り
マイカーを乗り替えて初の遠出。高速道路でつきものの休憩に魔が潜んでいました。一旦車から降りて、次に乗ろうとする時に、自分の車を見つけられない? とは、ほんと情けない。理由は明快。この間まで乗っていた車を捜していた。
[2016/08/19]
満月が 外灯くらいに 明るい夜
昼間は曇天であったのに、夜、そらを見上げて満月の美しさに見とれる。すぐそばの外灯と同じ明るさであるというのは、ひとつの驚きであった。(1)月はそれほどに明るい。(2)明るさの基準が外灯であっていいのか。
留守の間の 庭木歓喜の 夕立かな
夏場に2~3日留守にするとなると気掛かりなこと(のひとつ)は庭木の水やり。そんな時に都合良く夕立が降る。まぎれもなく「留守しても大丈夫」との仏天の声か。
[2016/08/18]
片付かぬ 片付かぬまま 道草を読む
漱石の晩年の作『道草』を読む。主人公の先生健三の嗜好に男(わたし)のわがままが溢れかえっている。だからといって社会からはみ出したりはしない。しっかりと現実に地を付いていて、「片付ける」のに一所懸命に生きている男と女が描かれている。健三のいわく「人間の運命はなかなか片付かないもんだな」>そうですね、と相槌をうつわたしがいる。
[2016/08/17]
焦熱堂に 風の供養や 声弾む
本堂を焦熱堂と名称変更してよいくらいの毎日だ。そんな中、見るに見かねたご信者が扇風機を次第に増やして下さって、今朝はわたしのからだを取り囲むように四方から扇風機攻撃。うち2台の冷風扇のために自宅から大量の氷まで持参。仮に涼しくなくても唱題の声は弾む。拝跪合掌
[2016/08/16]
天のわざか 灼熱の獄 終戦日
終戦記念日が不快な程に暑いのは天のはからいによるものと思えてきた。戦後71年、戦争体験者の各種団体が次々と解散に追い込まれているという。高齢化ゆえに致し方ない面はある。はたしてそのままでいいのか。
[2016/08/15]
手捷く 震源調ぶ 寝床かな
今朝は寝過ごしたのだが、未明の揺れで跳び起きた。5時4分。震度は1か2程度だろう。それで安心、ではない。震源地がどこなのか、不安になる。咄嗟に調べるものの寝ぼけているせいか、モバイルではうまくネット検索できなかった。パソコンを立ち上げる。瀬戸内が震源で最大震度2と出た。それから慌てて本堂へ。
[2016/08/14]
鏡中に 面影捜す 祖父の命日
祖父の顔を知らない。2人とも。写真もない。いつも(母方の)祖父の生まれ変わりのように言われていたのは、単に命日に生まれたからではなさそうだが、「目元以外」は似ているとか。祖父の命日その日が巡ってくると、わたしの誕生日はどこかに隠れてしまう。
[2016/08/13]
きょう休み とは思へども 五七五
このサイトは別にノルマがあって綴っているわけではないので、休もうと思えば休むのだ、と自分に言い聞かせている。それで自然に思いが五七五になるなら、それも可。もとより俳句を志しているわけではないのだ。
[2016/08/12]
祖書といえど 録内でなきゃ ろくでなし
祖師(日蓮聖人)の御書にも優劣があって、おかくれになってすぐに直弟子等によって編纂されたのが録内(ろくない)御書といわれ、後世(百五十年後とも、それ以上ともいわれる)追加で採録編纂されたのが録外(ろくげ)御書。録外には、偽書が多分に含まれているのだ。ネットに氾濫している御書データを読むときは、まずそこから注意しないと。すべて嘘というわけじゃないが。
[2016/08/11]
西日忌み 丑寅のどこか 見つめ居り
石田波郷の句「西日中電車のどこか掴みて居り」を意識した作。いわゆるパクリに近いと自覚している。丑寅(うしとら)は方位の東北を示すのだが、祖師と弟子旦那にとっては特別の意味がある。西を忌むのは西方極楽信仰に対する意思のあらわれだ。ただ、艮(=丑寅)といいながら、どこか?みきれないで居る中途半端な信仰態度を恥じるばかり。
※ 波郷の句にURLリンクを設けています。
[2016/08/10]
松枯らす 炎暑の堂に 祖師の微笑
雨の降らない夏には、うちの本堂の暑さは過酷なものとなる。大屋根は銅板葺きの軽量施行だったが、十数年前に雨漏り対策として、銅板の上に防水シートを敷き、さらに銅板を重ねて乗せてある。まったく熱を逃がさない構造、それは冬にはいいけど夏は地獄。それでも、お祀りされ鎮座まします祖師の御尊像はきょうも微笑んでござる。敬礼合掌
雨恋し 我も御松も 沙漠修行
祖師とわれらを比ぶるのは愚かというもの。沙漠と化したとさえ感じる本堂内陣に座していると、特別の修行が加味されたごとし。(おのずから唱題の声が大きくなるのは、やけのやんぱち? →失言?)
[2016/08/09]
窓を拭く 最後の朝や 自家用車
きょうは運転免許証の更新で松山へ出向いたあと、五年間慣れ親しんだ愛車を手放すことになっている。きのうのうちに車内清掃は済ませたが、フロントガラスにちいさな曇りが残っていた。さっと拭き上げてから、ハンドルを握った。こいつと最後のドライブ。多謝。
[2016/08/08]
お下がりの 菓子パン三つ喰うて 胃が凭れる
宝前(仏前)にお供えされていたお下がりを朝食に食したのだが、朝食は基本的に勤行のあとなのですっ空腹なのだ。朝5時前に起きだして9時頃の食事。手早く菓子パンに手を伸ばしたのはいいが一つ二つでは物足りない。さりとて、菓子パンをおかずにごはんを食べる気にはなれず、とうとう三つ目。それがいけなかった。甘党の御仁はよかろうけれど。ああ、これが初めてでは無い処が情けない。
[2016/08/07]
[2016/08/10]
[2016/08/09]
[2016/08/08]
[2016/08/07]